サ行
サ
SARVH サーブ
一般社団法人私的録画補償金管理協会。
録画機器や媒体の購入者が支払った私的録画補償金をメーカーなどから徴収し、権利者に分配していた団体。1999年3月1日設立。著作権思想の普及活動なども行っていた。
日本音楽著作権協会、シナリオや脚本家、放送局や映画製作者の団体などからなる私的録画著作権協議会のほか、日本芸能実演家団体協議会および日本レコード協会で構成されていた。
株式会社東芝(以下東芝)は、2009年アナログチューナー非搭載DVD録画機器を発売したが、この機器は私的録画補償金支払対象機器ではないとして、補償金を製品の出荷価格に上乗せして徴収する協力を拒否した。そのため、SARVHは東芝に対し補償金の支払いを求めて訴訟を提起したが、2012年最高裁がSARVHの上告を棄却したことでSARVH敗訴の控訴審判決が確定し、私的録画補償金制度は事実上機能しない状況に至った。その結果、SARVHは2015年3月末を持って解散した。
英: Society for Administration of Remuneration for Video Home Recording
sarah サーラ
一般社団法人私的録音録画補償金管理協会。
録音機器や媒体の購入者が支払った私的録音補償金をメーカーなどから徴収し、権利者に分配することと、著作権および著作隣接権の保護などの共通目的事業を実施することを目的とした団体。1993年3月3日設立。
日本音楽著作権協会、日本レコード協会および芸団協で構成されている。
2022年6月に、一般社団法人私的録音補償金管理協会から現在の名称へ変更。
英:Society for Administration of Remuneration for Audio Home Recording
http://www.sarah.or.jp/
シ
視聴覚的実演に関する北京条約 シチョウカクテキジツエンニカンスルペキンジョウヤク
→北京条約
私的録音録画補償金制度 シテキロクオンロクガホショウキンセイド
デジタル技術の発展・普及に伴う私的使用のための複製の増大によって、権利者が被る経済的不利益を補償するために1992年に創設された制度。
著作権者、著作隣接権者はその著作物等の複製に対し排他的許諾権を持っているが、個人的又は家庭内等の閉鎖的範囲内で使用する目的であれば、使用者本人が複製することは権利侵害にならない(著作権法第30条第1項)。しかし、デジタル技術が進展しオリジナルと同等の劣化しないコピーが作成できるようになると、立法当初想定していた零細な利用を超え、権利者の利益を害する状態に至ったことから、この制度が創設された。
著作権法では、政令(著作権法施行令)で定めるデジタル方式の録音録画機器や媒体を用いて音楽及び映像を録音又は録画する者は、補償金を支払わなければならないとしている(著作権法30条3項)。しかし、私的録音録画するたびに補償金を支払うことは、ユーザーにとって大きな負担となる。そこで、録音録画機器や媒体を製造するメーカーが協力義務を負って、機器等を購入する際に販売価格に一定額の私的録音録画補償金をあらかじめ上乗せし、一括して支払う仕組みが用意されている(著作権法104条の2から104条の10)。
私的録音補償金に関わる業務を行う団体として一般社団法人私的録音補償金管理協会(sarah)が、私的録画補償金に関わる業務を行う団体として一般社団法人私的録画補償金管理協会(SARVH)が、それぞれ文化庁長官から指定を受けている。
株式会社東芝(以下東芝)は、2009年アナログチューナー非搭載DVD録画機器を発売したが、この機器は私的録画補償金支払対象機器ではないとして、補償金を製品の出荷価格に上乗せして徴収する協力を拒否した。そのため、SARVHは東芝に対し補償金の支払いを求めて訴訟を提起したが、2012年最高裁がSARVHの上告を棄却したことでSARVH敗訴の控訴審判決が確定し、私的録画補償金制度は事実上機能しない状況に至った。その結果、SARVHは2015年3月末を持って解散した。
氏名表示権 シメイヒョウジケン
実演家の有する実演家人格権の一つ。実演家が、その実演を公に提供する際に、その氏名もしくは芸名を表示したり、実演家の名前を表示しないこととする権利(著作権法90条の2)。ただし、実演を利用する者は、既に表示されているところに従って、実演家の名前を表示すればよい(著作権法90条の2第2項)。また、実演家の氏名等の表示は、その実演の利用目的・態様に照らして、実演家の利益を害するおそれがないときや、公正な慣行に反しない場合には、省略などをすることができる(著作権法90条の2第3項)。
集中管理団体 シュウチュウカンリダンタイ
多数の著作権又は著作隣接権に係る権利者から権利行使の委任又は権利の信託を受け、権利者に代わって著作物や実演などの利用について権利行使を行い、利用の対価として使用料などを徴収し、権利者に分配を行う団体。権利者個人が権利行使するのでは限界がある利用行為についても実効性のある権利行使ができるようになるとともに、利用者が多数の権利者と個別交渉する煩雑さが軽減される点で、集中管理は権利者、利用者双方にメリットがある。
商業用レコード ショウギョウヨウレコード
市販の目的をもって製作されるレコードの複製物(著作権法2条1項7号)。例えば、いわゆるレコード盤(アナログディスクレコード)だけではなく、CD、MD、カセットテープなどをいう。ただし、商業用レコード二次使用料報酬請求権については、インターネット等から直接配信される音源も対象となる。
商業用レコード送信可能化権使用料 ショウギョウヨウレコードソウシンカノウカケンシヨウリョウ
商業用レコードを送信可能化する際に利用者が権利者に支払う使用料をいう。芸団協CPRAは、放送番組に使用された商業用レコードの実演に係る送信可能化について、著作権等管理事業者としてこのような利用について許諾をし、使用料の徴収及び分配を行っている。
商業用レコードに係る貸与権及び貸与に係る報酬請求権 ショウギョウヨウレコードニカカルタイヨケンオヨビタイヨニカカルホウシュウセイキュウケン
実演家の有する許諾権及び報酬請求権のひとつ。実演家は、商業用レコードを公衆に貸与する権利を専有する(著作権法95条の3第1項および97条の3第1項)。この許諾権は、商業用レコードの販売後1年以内しか認められていない(著作権法95条の3第2項および97条の3第2項)。販売後1年を超え、著作隣接権の保護期間が終了するまでの間に商業用レコードを貸与する場合には、実演家に対して報酬を支払わなければならないとする、報酬請求権が認められている(著作権法95条の3第3項および97条の3第3項)。
芸団協は、実演家の貸与報酬請求権を行使する団体として、文化庁長官から指定されている。芸団協CPRAは、日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合(CDV-J)と協議し、取決めた料率に基づき、報酬請求権に基づく報酬と合わせて、貸与権に基づく使用料をレンタル事業者より徴収し権利者に分配している(著作権法95条の3第5項)。
商業用レコードの二次使用料請求権 ショウギョウヨウレコードノニジシヨウリョウセイキュウケン
実演家の有する報酬請求権のひとつ。放送事業者等が、商業用レコードを用いて放送又は有線放送した場合又は放送を受信して同時に有線放送を行った場合、実演家には、二次使用料を受ける権利として、請求権が認められている(著作権法95条1項、97条1項)。通称として「商業用レコード二次使用料」という。
芸団協は、実演家の有する商業用レコード二次使用料請求権を行使する団体として、文化庁長官から指定されている。芸団協CPRAは放送事業者やその団体等と協議し取決めた金額を徴収し、権利者に分配している。(著作権法95条5項)。
商業用レコード録音権使用料 ショウギョウヨウレコードロクオンケンシヨウリョウ
放送事業者は6カ月間を超えて放送番組に収録された実演を保存する場合には、その権利者に許諾を得る必要がある。このため芸団協CPRAと放送事業者は、商業用レコード二次使用料の契約時に、著作権等管理事業法に基づいて商業用レコードの録音について利用範囲を定め、包括的な利用許諾契約を行っている。
CDV-J シーディーブイジェイ
日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合。
DVDやCDなどのレンタル事業者により構成される業界団体。日本レコードレンタル商業組合として1984年3月に認可され、1998年6月に、現在の日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合となった。
英:Compact Disc & Video Rental Commerce Trade Association of Japan
http://www.cdvnet.jp/modules/aboutus/index.php/index.html
実演 ジツエン
音楽や脚本などの著作物を、演じたり、演奏したり、歌唱したり、朗詠したりすること。サーカスや手品など著作物を演じないが、芸能的な性質を有するものも、実演に含まれる(著作権法2条1項3号)。例えば、スタジオで歌を歌ったり、演奏したり、テレビドラマで演技をしたり、ステージ上で踊ることなどが実演にあたる。
実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約 ジツエンオヨビレコードニカンスルセカイチテキショユウケンキカンジョウヤク
→WPPT
実演家 ジツエンカ
俳優、舞踊家、演奏家、歌手など、著作物を実演する者をいう。例えば、楽曲を歌ったり、脚本に基づいて演技したりする者のほか、サーカスや手品師など芸能的な性質を有することを行う者も実演家となる(著作権法2条1項3号参照)。また、実演家を指図して実演をさせているようなオーケストラの指揮者や舞台の演出家も、実演家とされている(著作権法2条1項4号)。
実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約 ジツエンカ、レコードセイサクシャオヨビホウソウキカンノホゴニカンスルコクサイジョウヤク
実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約 ジツエンカ、レコードセイサクシャオヨビホウソウキカンノホゴニカンスルコクサイジョウヤク
実演家人格権 ジツエンカジンカクケン
実演家の人格的利益を保護するため、著作権法に定められた権利。具体的には、氏名表示権(著作権法90条の2)と同一性保持権(著作権法90条の3)が定められている。実演家人格権は、他人に譲渡することはできず、相続の対象にもならない(著作権法101条の2)。ただし、実演家の死後であっても、実演家が生きているとしたならば、実演家人格権の侵害となる行為をしてはならないと定められている(著作権法101条の3)。
実演家の権利 ジツエンカノケンリ
実演家の権利には、実演家の人格的利益の保護を目的とした権利である実演家人格権と、財産的利益の保護を目的とした経済的権利とに大きく分けられる。実演家人格権には、現行の著作権法では、氏名表示権(著作権法90条の2)と同一性保持権(著作権法90条の3)とが定められている。
他方、財産的利益を保護することを目的とした権利は、その権利の性格によって、許諾権と報酬・補償金請求権とに分けることができる。許諾権には、録音権・録画権(著作権法91条1項)、放送権・有線放送権(著作権法92条1項)、送信可能化権(著作権法92条の2第1項)、譲渡権(著作権法95条の2)および商業用レコードに係る貸与権(著作権法95条の3第1項)がある。他方、報酬・補償金請求権には、商業用レコードの二次使用料請求権(著作95条1項)、一定期間経過後の商業用レコードの貸与に係る報酬請求権(著作権法95条の3第3項)、リピート放送等に係る報酬請求権(著作権法94条2項)、放送される実演の同時再送信に係る報酬・補償金請求権(著作権法94条の2、102条6項)および私的録音録画補償金請求権(著作権法102条による30条2項の準用)がある。
厳密には、実演家に与えられる許諾権を著作隣接権と呼んでいる(著作権法89条6項)。
実演の保護期間 ジツエンノホゴキカン
実演は、実演を行ったときに発生し、当該実演が行われた日の属する年の翌年から起算して70年間保護される(著作権法101条)。例えば、2012年4月に行われた実演も同年8月に行われた実演も、等しく2082年12月31日まで保護されることになる。
自動公衆送信 ジドウコウシュウソウシン
公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(例:インターネットなどを用いてリクエストを受けて行う送信など)。ただし、放送または有線放送に該当するものは除かれる(著作権法第2条1項9号の4)。例えば、インターネットを通じて、視聴者からのリクエストを受けて、自動的に行う送信がこれにあたる。
ジュネーヴ条約 ジュネーヴジョウヤク
許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約。レコード保護条約とも呼ばれる。レコード製作者の権利を保護するための条約で、1971年にスイス・ジュネーブで作成、1973年発効。日本は1978年に受諾している。
レコード製作者の権利については、1961年のローマ条約でも定められていたが、締約国が少なく、海賊版の防止には不十分であった。実施する手段は、締約国に委ねられており、著作権法による保護以外にも、不正競争や刑事罰に基づく保護も認められている。
ス
SCAPR スカプル
実演家権利管理団体協議会。
国際的な実演家の権利保護のため、実演家の権利を管理する団体間の協定締結を推進するために設立された民間の国際組織。1986年にウィーンにて最初の会合が開かれ、2001年にオスロにて正式に設立された。各国の実演家の権利集中管理団体や、レコード製作者と実演家の権利集中管理団体が会員となっている。
英:Societies Council for the Collective Management of Performers Rights
http://www.scapr.org/
セ
世界貿易機関 セカイボウエキキカン
→WTO