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「文化芸術推進基本計画(第1期)」が策定

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去る3月6日、「文化芸術推進基本計画(第1期)」が閣議決定された。著作権に関係する箇所を中心に紹介する。

これまでの経緯

 昨年6月、文化芸術振興基本法が改正され「文化芸術基本法」が成立した。この改正により、政府は、これまでの「文化芸術の振興に関する基本的な方針」に代えて、文化芸術に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために「文化芸術推進基本計画」(以下「基本計画」)を定めることになった。文部科学大臣は、基本計画案の作成にあたって、文化審議会の意見を聞くこととされており、昨年6月に文化審議会に諮問を行った。

 文化審議会では、文化政策部会に基本計画ワーキンググループのほか、舞台芸術やメディア芸術など分野別ワーキンググループを設置し、検討を進めた。検討では、著作権分科会からの意見のほか、文化芸術関係団体等へのヒアリングや国民からの意見募集を行っている。文化芸術関係団体等へのヒアリングには、芸団協も参加し、意見書も提出している。

 文化審議会は、去る2月16日に答申を取りまとめ、文部科学大臣に答申の後、基本計画は閣議決定された。

『文化芸術推進基本計画(第1期)』の概要

 「文化芸術の『新たな価値』を活いかして、未来をつくる」との副題がつけられた基本計画は、今後、文化芸術の目指すべき姿として4つの目標を掲げ、今後5年間の文化芸術政策の基本的な方向性として、6つの戦略を掲げてい る(図)。基本計画では、著作権や著作隣接権の役割なども示した上で、今後の文化芸術の目指すべき姿を実現するための基本的な方向性や施策について触れている。

〔著作権等の役割〕

 著作権等は、思想又は感情の創作的な表現である著作物等の〈創作-流通-利用〉のサイクルの維持・発展を担う法的なインフラとして、文化芸術の振興の基盤を成すとしている。さらに、文化芸術政策との連携が求められる様々な政策分野に係る施策を推進していく上でも、重要な役割を果たすとする。

 そして、文化芸術関連産業や情報関連産業の振興を図る上で、著作権制度や著作物等の流通環境の整備が、重要な役割を果たし、適切な著作権関係施策によって国民が著作物等を適切に享受できる機会の確保につながり、文化芸術の多様な価値観の形成と地域における包摂的環境の推進に資するとしている。

〔文化芸術の目指すべき姿を実現するための方向性〕

 デジタル化・ネットワーク化に伴う社会環境の変化や我が国の成長戦略の観点から社会経済の動向を踏まえ、さらには著作物等の適正な利用機会の増進に貢献する公共的な性格を有する事業等について、権利保護と公正な利用のバランスを取りながら施策を展開していくとの方向性が示されている。また、国民の著作権に関する知識の普及と意識の向上、学校等における著作権教育の充実を図るという方向性も示されている。さらに、開発途上国の著作権制度整備に貢献し、海外における著作権に関する普及啓発、侵害対策も講ずるとの方向性なども述べられている。

〔今後5年間に推進すべき基本的な施策〕

 著作権に関するいくつかの基本的な施策が示されている。例えば、著作権等の保護及び著作物等の適正な流通の促進を図るための著作権制度・運用等に関する必要な措置、権利の集中管理の促進等によるライセンス環境の整備、権利者不明著作物の利用円滑化等のほか、世界知的所有権機関(WIPO)と協同した著作権等制度整備支援、WIPOでの著作権等関連条約の策定に向けた議論への積極的な参画、学校等における著作権教育の充実、障害者等の情報アクセス機会の充実、図書館や学校における著作物等利用環境の充実などを掲げている。(著作隣接権総合研究所 君塚陽介)

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