用語辞典

本ウェブサイトで使用している専門用語を説明しています。

タ行

WCT ダブリューシーティー

 著作権に関する世界知的所有権機関条約。デジタル、ネットワーク環境における著作権保護のための条約で1996年にスイス・ジュネーブで作成、2002年発効。日本は、2000年に加入している。
 ベルヌ条約は全会一致でないと改正できないことから、より高い保護を求める国のみ加盟する、という、いわばベルヌ条約の「二階建て部分」として作られた。利用可能化権(日本の送信可能化権にほぼ相当する)を含む公衆への伝達権を定めたこと、技術的保護手段に関する義務、権利管理情報に関する義務を定めた点が特徴。
英:World Intellectual Property Organization Copyright Treaty


ベルヌ条約
送信可能化権

WTO ダブリューティーオー

 世界貿易機関。自由貿易促進を目的とした国際機関。GATTウルグアイ・ラウンドにおける合意によって、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(WTO設立協定)に基づき、1995年1月1日にGATTを発展解消させる形で成立した。
 WTO設立協定の附属書のひとつとして、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定)がある。


TRIPS協定

WPPT ダブリューピーピーティー

 実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約。デジタル、ネットワーク環境における音に関する実演及びレコードを保護するための条約で、1996年にスイス・ジュネーブで作成、2002年発効。日本は2002年に加入している。音の実演に係る実演家人格権のほか、利用可能化権(日本の送信可能化権にほぼ相当する)の付与、技術的保護手段に関する義務、権利管理情報に関する義務を定めた点が特徴。

英:World Intellectual Property Organization Performances and Phonograms Treaty


送信可能化権

知的財産 チテキザイサン

知的財産基本法では、発明や著作物など人間の創造活動によって生み出されるもののほか、商標など事業活動に用いられる商品やサービスの表示、営業秘密など事業活動に有用な技術上または営業上の情報とされる(知的財産基本法第2条第1項)。

知的財産基本法 チテキザイサンキホンホウ

2002(平成14)年成立。知的財産の創造、保護及び活用に関して、基本理念や施策、国などの責務について定めているほか、知的財産戦略本部の設置や『知的財産推進計画』の作成などについて定めている。

知的財産権 チテキザイサンケン

知的財産基本法では、特許権や著作権、商標権など知的財産に関して法令により定められた権利または法律上保護される利益に係る権利とされる(知的財産基本法第2条第2項)。

知的財産推進計画 チテキザイサンスイシンケイカク

知的財産戦略本部により、毎年作成され、知的財産の創造、保護及び活用のために、政府が集中的かつ計画的に実施すべき施策に関する基本方針や施策などが定められる。関係省庁は、知的財産推進計画に定められた各施策について取り組むことになる。


知的財産戦略本部

知的財産戦略本部 チテキザイサンセンリャクホンブ

知的財産基本法に基づき、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を推進するため、内閣に設置。内閣総理大臣が、本部長を務める。「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」(知的財産推進計画)の作成などを行う。


知的財産戦略本部ウェブサイト http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/index.html

著作権 チョサクケン

著作者の権利として定められる権利のうち、財産的利益の保護を目的とする権利で、著作権法21条から28条までに定められている複製権や上演・演奏権、公衆送信権などの権利をいう(著作権法17条1項)。著作権の享有には、どこかの機関に登録したり、届け出たりする必要はない(無方式主義)。例えば、音楽CDを購入すると、その音楽CDの所有権を取得するだけであって、その音楽CDに収録されている楽曲の作詞・作曲家の著作権までを取得するわけではない。また、著作権は、著作物の創作の時に始まり、著作者の死後70年まで保護される(著作権法第51条)。この保護期間の計算は、著作者が死亡した日の属する年の翌年から起算される(著作権法第57条)。
なお、著作者に与えられている上演権及び演奏権(著作権法22条)や公に伝達する権利(著作権法23条2項)などは、実演家には認められていない。

著作権等管理事業者 チョサクケントウカンリジギョウシャ

著作物や実演などの著作権者や著作隣接権者との委任契約などに基づいて、あらかじめ定められた使用料規程にしたがい、自らの判断で利用者に対して著作物や実演などの利用を許諾し、使用料を徴収し、権利者に分配する者(著作権等管理事業法2条)。著作権等管理事業者は、文化庁長官の登録を受け、管理委託契約約款や使用料規程を届け出なければならない。芸団協は、実演家に係る商業用レコード録音権使用料や送信可能化権使用料のほか、放送番組の目的外使用に関する映像実演に係る権利の管理事業について、著作権等管理事業者として登録を行い、芸団協CPRAが管理業務にあたっている。

著作権等管理事業法 チョサクケントウカンリジギョウホウ

著作権や著作隣接権の管理事業を行う者に対して適正な業務運営を確保するための措置を講じることによって、著作物や実演などの権利者を保護するとともに、その利用を円滑にし、もって文化の発展に寄与することを目的として、2000年に成立した法律。著作権等管理事業法に基づき文化庁長官の登録を受けた著作権等管理事業者は、管理委託契約約款に基づいて権利者との間で委任契約などを結び、自らの判断で著作物や実演などの利用を許諾し、あらかじめ定められた使用料規程に基づいて利用者との間で使用料額を決定することになる。

著作権に関する世界知的所有権機関条約 チョサクケンニカンスルセカイチテキショユウキカンジョウヤク

WCT

著作権法 チョサクケンホウ

現在の著作権法は、1970(昭和45)年に成立したもので、著作物や実演、レコード、放送・有線放送に関する権利を定め、このような文化的所産の公正な利用に留意しつつ、権利保護を図り、文化の発展を目的としている(著作権法第1条)。

著作隣接権 チョサクリンセツケン

現行著作権法成立の際に、設けられたもの。現行著作権法では、実演家、レコード製作者および放送事業者・有線放送事業者に対して与えられる許諾権を著作隣接権と呼んでいる(著作権法89条6項)。具体的には、実演家に、録音権・録画権著作権法91条1項)、放送権有線放送権著作権法92条1項)、送信可能化権著作権法92条の2第1項)、譲渡権著作権法95条の2)および商業用レコードに係る貸与権(著作権法95条の3第1項)がある。また、レコード製作者に、複製権(著作権法96条)、送信可能化権著作権法96条の2)、譲渡権(著作権法97条の2)、商業用レコードに係る貸与権(著作権法97条の3第1項)がある。さらに、放送事業者・有線放送事業者に、複製権(著作権法98条100条の2)、放送権・有線放送権(著作権法99条100条の3)、送信可能化権(著作権法99条の2100条の4)およびテレビジョン放送の伝達権(著作権法100条100条の5)がある。

電波法 デンパホウ

1950(昭和25)年に、放送法らとともに成立した、電波の公正かつ能率的な利用を確保し、公共の福祉を増進することを目的とした法律。無線局開設についての免許制度や運用の範囲などについて規律している。


放送法

TRIPS協定 トリップスキョウテイ

 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定。著作権を含む知的財産全般について、WTO加盟国が一律に遵守することが要求される最低基準を定めた協定で、WTO設立協定の附属書のひとつ。1994年に作成、1995年に発効した。ベルヌ条約パリ改正条約に加盟していなかった国にも、条約の規定を遵守することを義務付けた上で、保護を強化している。協定違反については、WTOの紛争解決機関を利用することが可能で、それまでの著作権・著作隣接権関連条約の課題であった権利行使の実効性を確保した。


WTO

ベルヌ条約

同一性保持権 ドウイツセイホジケン

実演家の有する実演家人格権のひとつ。実演家の名誉や声望を害するような、実演の変更、削除そのほかの改変に対して異議を申し立てることができる権利(著作権法90条の3第1項)。「著作者の同一性保持権」と異なり、実演家の名誉や声望を害する改変にのみ実演家の同一性保持権はおよぶ。また、実演の性質や利用態様・目的に照らしてやむを得ない改変や公正な慣行に反しない改変については、同一性保持権は及ばない(著作権法90条の3第2項)。

関連記事