SANZUI vol.10_2016 spring

カンゲキのススメ

Illustration / Takao Nakagawa

vol.9バレエ

夏はバレエの季節です! 夏休みはいろんな作品の見せ場を集めて上演するフェスティバルや小さなお子さんも一緒に観られる公演が多いほか、海外のバレエ団はシーズンオフにあたり、本国での公演がないダンサーが日本の作品に出演することも。なんと今年は英国ロイヤル・バレエ団とミラノ・スカラ座バレエ団が3年ぶりに来日。日本にいながら世界最高峰のバレエを見るチャンス! ちょっと値段は張りますが、プチ旅行気分で出かけてみては?

軽やかさはつま先から

バレリーナがつま先一点で立つことを「ポアント」といいます。まるで上から吊られているかのようですが、200年ほど前には、実際にロープを使ってダンサーを飛んでいるように見せる仕掛けが流行したこともありました。その踏み切りの際、一時的につま先立ちになったのがポアントの原型という説も。その後、シューズの改良や技術の向上によって、現在のポアントが完成。妖精や白鳥など、幻想的な世界を表現するのに欠かせないものになっています。体重の数倍の力がかかっていることを感じさせない軽やかな演技は、トレーニングの賜物です。

世界に誇る!コールド・バレエ

バレエは西洋生まれですが、日本のバレエ団が世界に引けを取らないと言われているのが大勢で踊るコールド・バレエ(corps de ballet)。一糸乱れぬ動きに定評があります。全員で同じポーズを取ったり、ウェーブのような動きをしたり、指や足の先までぴったり揃った演技は圧巻。メインのダンサーが踊っている後ろで背景のような役割をすることも多いのですが、非日常の世界をつくりだす大切な要素。こちらにもご注目です。

手で口ほどにものを言う

台詞のないバレエでは、登場人物の会話は、「マイム」と呼ばれるしぐさを組み合わせて表現します。例えば、両手を上げて糸を巻くようにぐるぐる回すしぐさは「踊る」。回したあとに両腕を下ろして広げれば「踊りましょう」と誘う表現に。右手の人差し指と中指を揃えて空を指せば「誓う」。白鳥の湖、ジゼルなど定番の演目でよく登場するマイムです。愛を誓う場面で使われるので、ダンサーの表情もお見逃しなく。

昔はご法度、今は常識

バレエというと、タイツ姿で踊る男性ダンサーを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし20 世紀はじめまでは、タイツの上に半ズボンを穿くのが普通で、タイツのみで舞台に上がるとスキャンダルになったほど。しかし、時代とともに男性の振付がよりダイナミックになると、ズボンは踊りの妨げに。そこで、踊りやすく、そして鍛え抜かれたお尻から脚の美しい筋肉を存分に見せられる今のようなタイツ姿で踊るようになったのです。




[協力]
一般社団法人日本バレエ団連盟
[参考文献]
Clara・編「バレエ名作物語1・2」(新書館、2000)
長野由紀「バレエの見方」(新書館、2012)
守山実花「バレエに連れてって!」(青弓社、1998)
渡辺真弓「バレエの鑑賞入門」(世界文化社、2006)

SANZUIの著作権は、特に明記したものを除き、すべて公益社団法人日本芸能実演家団体協議会
実演家著作隣接権センターに帰属します。
営利、非営利を問わず、許可なく複製、ダウンロード、転載等の二次使用することを禁止します。

関連記事