SANZUI vol.01_2013 summer

美匠熟考

Photo / Anna Hosokawa

Number:001 Scenario of "Seven Samurai"黒澤明監督作品『七人の侍』のシナリオ大笹吉雄(演劇評論家)

昭和三十五年に上京するまで、わたしはもっぱら映画を見て育った。

夢中になった契機が『笛吹童子』や『紅孔雀』といった東映作品で、ともに昭和二十九年に封切られている。『七人の侍』はこの前年の公開だから、わたしが見たのは再上映だろう。すっかり黒澤ファンになって、早速シナリオを読んだ。そして知ったのは、シナリオと映画はまったく別のものだということだった。たとえば菊千代が三船敏郎の身体や声を伴ってスクリーンに現れることなど、シナリオからは想像もつかない。その意味で別の世界であること。

やがてわたしはライブなものにより惹かれて演劇に熱を上げたが、戯曲と舞台は別のものであり、異なる魅力を持つ世界だと正確な認識を持てたのは、映画とシナリオの関係を知っていたからにほかならない。

映画はわたしの「恩人」である。

協力:野上照代(当時の映画製作記録者)

Number:002 TABI琉球古典芸能に使われる赤足袋崎原綾乃(琉球文学 博士)

琉球古典芸能の組踊や琉球舞踊で鮮やかな紅型衣裳などの裾からちらりとのぞく赤足袋は、鮮やかで印象深いものである。琉球古典芸能で赤足袋を履くのは、女性か成人前の少年である若衆の役である。琉球王府の古文書には「緋紗綾足袋」と出ている。なお、琉球古典芸能の足袋は白足袋か赤足袋である。

琉球王府時代、日常の足袋はいろいろな色があったが、自由に履けるものではなかった。庶民は足袋禁止。士族でも身分の高い者にしか許されないものであった。琉球の歴史書『球陽』の1750年の記事には、老人と病人に限り、水色か玉色の足袋の着用を許すと出ている。足袋ひとつで、身分も分かるのである。

琉球古典芸能で、足元からほんの少し見えるだけの赤足袋にも、琉球の歴史の一端が詰まっているのである。

協力:宮城洋子琉球舞踊研究所


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