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ハ
万国著作権条約 バンコクチョサクケンジョウヤク
UNESCOの提唱により作成された著作権の保護に関する条約。1952年にスイス・ジュネーブで作成、1955年に発効。日本は1956年に加入している。当時、著作権保護に関し登録制度を採っていたアメリカなどと、権利の発生に登録などの手続を必要としない無方式主義を採っているベルヌ条約加盟国との間の橋渡し的役割を果たした。
同条約の加盟国の著作物であれば、登録等行わなくても、最初の発行時から著作権者の名、最初の発行年、©の記号をつければ、方式主義の加盟国においても保護を受けられる。その後、アメリカを始め、方式主義を採っていた国もほとんどがベルヌ条約に加盟したため、今日では、©マークをつける法律的意味はほとんどなくなっている。1971年にフランス・パリで改正されており、日本は1977年に受諾している。英:Universal Copyright Convention (UCC)。
フ
FIA フィア
国際俳優連盟。
1952年にイギリス俳優組合とフランス芸能人労働組合を母体として設立された。WIPOやUNESCOなどの国際機関にコーディネーターとして参加し、世界各国における俳優の就労問題や権利の保護・拡大を働きかけ、そのための情報交換および政府関係機関へのロビー活動に積極的に取り組んでいる。本部事務所はロンドン。会員は世界70カ国以上から100団体以上を数える。日本からは、協同組合日本俳優連合が会員となっており、アメリカのSAG-AFTRAも会員となっている。
仏:Fedération internationale des acteurs
http://www.fia-actors.com/
FIM フィム
国際音楽家連盟。
1948年に欧州9カ国の音楽家組合によって設立された。音楽家の就労問題や権利に関して、国内および国際的な法的保護の促進などを行なっている。非政府組織として、WIPOなどの国際機関と恒常的な関係を持つほか、欧州共同体の機関から諮問を受けることもある。事務局はパリに置かれている。日本からは、日本音楽家ユニオンが会員となっている。
仏:Fédération Internationale des musiciens
http://www.fim-musicians.org/
文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約 ブンガクテキオヨビビジュツテキチョサクブツノホゴニカンスルベルヌジョウヤク
ヘ
北京条約
視聴覚的実演に関する北京条約。デジタル・ネットワーク環境における視聴覚的実演を保護するための条約。1996年に採択されたWPPT(実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約)は音に関する実演のみを対象としていたため、視聴覚的実演に関する条約については、引き続き検討が進められていた。2000年12月には、全20カ条のうち、視聴覚的実演に財産的権利を付与する条項を含む19カ条について暫定合意が得られたものの、権利の移転を巡る条項について合意が得られなかったため、採択が持ち越された。採択された北京条約では、権利の移転については各国の国内法に委ねられることになった。2012年採択、2020年発効。日本は2014年に加入している。
>WPPT
ベルヌ条約 ベルヌジョウヤク
文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約。小説、音楽または美術などの著作権保護に関する基本条約で、1886年にスイス・ベルヌで作成、1887年発効。日本は1899年に加入している。なお、日本がイギリスなどとの間で締結した不平等通商条約を解消するための条件として、ベルヌ条約へ加盟する必要があったことが、いわゆる旧著作権法制定の契機となったとされる。著作権保護について無方式主義を定めるほか、著作者人格権や、著作権の保護期間を著作者の死後50年とすることなどを定めている。
創設以来、現在のパリ改正条約(1971年)に至るまでほぼ20年おきに改正されている。
ホ
報酬・補償金請求権 ホウシュウ・ホショウキンセイキュウケン
他人が実演を利用する行為を止めることができない代わりに、実演が利用された場合には報酬・補償金を請求することができる権利。例えば、商業用レコードを用いた放送をする放送事業者は、実演家又は権利者から許諾を得る必要はないが、当該商業用レコードに収録されている実演に係る実演家又は権利者に二次使用料を支払わなければならない。また、許諾権を権利制限し、報酬請求権を認める場合には、「補償金(請求権)」の語があてられている。例えば、複製権、録音権・録画権を制限する私的録音録画補償金請求権(著作権法30条3項)や放送対象地域に限定した放送の同時再送信に対する送信可能化権を制限する補償金請求権(著作権法102条6項)などがある。
放送権 ホウソウケン
実演家の有する許諾権のひとつ。実演家はその実演を放送する権利を専有する(著作権法92条1項)。
放送とは、公衆送信のうち、公衆によって同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう(著作権法2条1項8号)。したがって、著作権法上は、「放送」は「無線通信の送信」のみを指し、テレビやラジオ放送が典型例であるが、放送法に定められている「放送」とは同じではないことに留意する必要がある。
放送される実演の同時再送信に係る報酬・補償金請求権 ホウソウサレルジツエンノドウジサイソウシンニカカルホウシュウ・ホショウキンセイキュウケン
実演家の有する報酬・補償金請求権のひとつ。有線放送局が放送番組を受信して、有線放送で同時再送信する場合、その放送番組に出演する実演家に補償金を支払わなければならない(著作権法94条の2)。また、放送番組で使われた商業用レコードに係る実演家には、商業用レコード二次使用料として報酬を支払わなければならない(著作権法95条)。ただし、営利を目的とせず、視聴者から料金を受け取らない場合は除く。
放送番組送信可能化使用料 ホウソウバングミソウシンカノウカシヨウリョウ
放送番組を同時・異時配信等送信可能化する際に実演家又は権利者に支払われる使用料。芸団協CPRAは、著作権等管理事業者として、このような利用について許諾をし、使用料の徴収及び分配を行っている。
放送番組販売使用料 ホウソウバングミハンバイシヨウリョウ
放送番組を有線放送局、BS局、CS局又は海外のテレビ局等に販売する際に実演家又は権利者に支払われる使用料。芸団協CPRAは、著作権等管理事業者として、このような利用について許諾をし、使用料の徴収及び分配を行っている。
放送番組ビデオグラム化使用料 ホウソウバングミビデオグラムカシヨウリョウ
放送番組をビデオグラム化する際に実演家又は権利者に支払われる使用料。芸団協CPRAは、著作権等管理事業者として、このような利用について許諾をし、使用料の徴収及び分配を行っている。
放送法 ホウソウホウ
1950(昭和25)年に、電波法らとともに成立した、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とした法律。日本放送協会(NHK)や民間放送局などを規律している。2011(平成23)年には、放送法、有線ラジオ放送法、有線テレビジョン放送法および電気役務通信利用法を統合する改正が行われ、現在の放送法上の「放送」とは、公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信とされ、著作権法上の「放送」とは異なる(著作権法2条1項8号)。
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