CPRA news VOL.79
CPRA news VOL.79
巻頭メッセージ:
「柔軟性の高い権利制限(フェアユース)規定は本当に必要なのか?」
芸団協CPRA顧問弁護士 藤原浩
特集:
TPPによる実演家の権利への影響
衛星放送の誕生と発展
REPORT:オンラインにおける実演利用の公正な待遇を求めて
「ひろがる音楽ビジネスと音楽家の権利―オンライン・ミュージック国際会議」より
INFORMATION:業務についてのお知らせ等
COLUMN/ESSAY:椎名和夫(芸団協CPRA運営委員、一般社団法人演奏家権利処理合同機構MPN理事長)
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柔軟性の高い権利制限(フェアユース)規定は本当に必要なのか?
芸団協CPRA顧問弁護士 藤原 浩
ここ数年来、著作権の権利制限規定(フェアユース)をめぐる問題が繰り返し議論されている。これまで何度も議論され、その都度、結論が出されたはずであるにもかかわらず、今また、「柔軟性の高い権利制限規定」の名のもとで、その導入の是非が議論されることとなった。昨年6月、政府の知的財産戦略本部は「知的財産推進計画2015」において、今後取り組むべき課題として、デジタル・ネットワーク時代における技術的・社会的変化やニーズを踏まえ「柔軟性の高い権利制限規定や円滑なライセンス体制など新しい時代に対応した制度等の在り方について検討する」ことを示した。これを受け、昨年10月、文化審議会の法制・基本問題小委員会に「新たな時代のニーズに的確に対応した制度等の整備に関するワーキングチーム」が設置され、フェアユースの問題も議論されることになった。この問題を考える上で、これまでのフェアユースをめぐる我が国での議論の経過を簡単に振り返ってみたい。