SANZUI ぱっしょん
古典芸能と楽しく遊ぼう ~海城中学高等学校 古典芸能部~
中学1年生から高校3年生まで50人近い部員数を誇る海城中高古典芸能部。落語を中心に、漫才・コント、色物など多彩なジャンルを扱う、ほかには類を見ない部活だ。
自分で演じるのはもちろん、ネタを考えるのが専門の部員や、古典芸能に関する研究をメインに活動している部員もいる。小学生の頃から桂枝雀師匠の「地獄八景亡者戯」を暗唱できるほど繰り返し聞いていた猛者もいれば、落語には全く興味がなかったという人も。
学園祭での寄席のほか、地域の交流センターや学童保育からの依頼で、出張公演を行うこともある。小学生の前で演じるのは、反応がよくて楽しかったそう。
部長の藤田くん(高1)は、古典芸能部は自分にとって「おばあちゃんちみたいな場所」だと言う。落語の本やCD、高座のときに使う座布団や屏風、出演者の名前を書く「めくり」で埋め尽くされた四畳半の部室は、「自分の部屋より居心地がいい」と渡辺くん(高1)。
顧問の川崎真澄先生は、基本的に生徒の活動に口出しはしない。何のネタをやるか相談に乗ったり、たまに見せてもらったりする程度だという。「でも、実はすごい。落語好きだし、めちゃくちゃ詳しい」と部員たちは口を揃える。それでもダメ出しをしたりしないのは、まずは楽しさを知ってほしいという思いから。「正しくやるよりも、そのネタのどんなところが面白いのかを自分で感じてほしい」という。8年前、当時の生徒から落語研究会を立ち上げたいという相談を受けたとき、部活の名前を「古典芸能部」としたのも、間口を広くしたいという思いからだった。
みんなから「裏の部長」と慕われる滝口くん(高1)いわく、「来る者拒まず、去る者ちょっと追う」。気負わず自由な雰囲気のなかで古典芸能とたわむれる彼ら。中学生の頃からこんな経験ができるなんて、ちょっとうらやましい。
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