特集 笑い
Photo:Ko Hosokawa
塚地武雅笑いがすべて、仕事で恩返ししています
お笑いコンビ・ドランクドラゴンの塚地武雅さん、近年では俳優としても活躍の幅を広げている。「子どものころから人を笑わせることで、友達とのバランスがとれたり、居場所があったような気がする」。中学のときからお笑いの道に行きたいと思っていた。大学卒業後、一度就職するも辞表を出す。「父親は怒り狂い、母親も泣き崩れた。食えなくても誰に反対されようが、やるしかないと思った」。
事務所の養成所で相方(鈴木拓)と出会い、コンビでのネタづくりが始まった。「モノマネが得意だったから、キャラクターが面白いコントをやってみた。僕の言動をずっとみてクスクス笑っているのを肌で感じて、すごく嬉しかった」。いまや、街でその姿をみかけただけで「うける!」と笑う子も(笑)。ある程度バックボーンを拵えることで、キャラを通した表現ができるようになったのは財産。
バラエティ番組でのコントの評判から俳優のオファーも来た。「お笑いとして培ったものがベースにあって、両方やらせてもらっているのはありがたい」。コンビでは作演出をし、相方に間も細かく指示する監督のような立場だが、「芝居の現場では、監督がああしたい、こうしたい、と言ったらそれが正解だと思って従う。期待に添えるかどうかだけ」。
笑うことは人の安心する感情だと言う。「『悲しい』はすべての人に共通するけど、『笑う』ことはバラバラ。全員ツボが違うのが面白い。災害や戦争のとき、一番いらんような仕事だけど、一番いるような仕事だと思う。好きなだけなんですけど、やりがいを感じてる」と、はにかむ。子どものころ、お笑いをみて幸せだった、それを今、仕事として返している気持ち。「イカ大王の着ぐるみも昔なら見た目じゃなくネタで勝負!と受け入れられなかったと思う。今は、子どもたちが目を輝かして見てくれるのが嬉しい」。
「夢は、ただただ笑える、長い尺の喜劇の映画やドラマをつくること。一番の理想は、自分でやりたい。自分の面白い間は自分がわかる」。常に厳しく自らの表現と向き合って、笑いを追求し続けている。
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