カンゲキのススメ
Illustration / Takao Nakagawa
vol.8歌舞伎
新しいことにチャレンジしたくなる年の初め。歌舞伎に出かけてみませんか? 歌舞伎の公演は通常昼の部、夜の部の二部制で、多くはタイプの違う 3~4演目のハイライトを組み合わせて上演します。公演時間は休憩を含め 4~5時間くらい。幕間にはお弁当を食べたりお土産を見たり、半日遊べるエンターテインメントです。公演はほぼ一年中行われていますが、おすすめは 1月! 晴れ着姿のお客さんも多く、劇場全体がうきうきする空気でいっぱいです。特別な服装や持ち物はありません。気軽にデビューしちゃいましょう。
まずはお試し、「一幕見」!
「まずはちょっとだけ観てみたい」「料金が高くてハードルが高い ......」というあなた。歌舞伎座、大阪松竹座、博多座などには、「一幕見席」という好きな演目だけを観られるチケットがあります。お値段は 500~2000円ととってもお手頃!購入は当日劇場窓口のみ。発売時刻や料金は公演初日に発表されるので、「歌舞伎美人」サイト( http://www.kabuki-bito.jp/)の「ニュース」をチェックしましょう。ちょっと並びますが、それだけの価値はありますよ。
「化粧」で性格や年齢がわかる
歌舞伎の「隈取」は、血管や筋肉をデフォルメしたもの。身分や性格を示しています。赤い隈は若さや正義、強さを表現。藍色の隈はスケールの大きな悪役や怨霊などに使われます。女方の化粧にも、役柄を表現する様々な工夫が。口紅や目を囲む「目はり」は若い役ほど赤く、年を取った役ほど茶色を混ぜて黒っぽくします。お姫さまや身分の高い遊女・花魁は、肌の白さを強調するために白粉を二度三度と重ねますが、老人の場合は肌色が透けるくらい薄塗りです。会場によっては有料でオペラグラスも借りられるので、顔を見比べてみるのも一興です。
700円で大違い!
イヤホンガイドで歌舞伎通に初心者の方に全力でおすすめしたいのが、あらすじや見どころ、役者の紹介をしてくれるイヤホンガイド。観劇の邪魔をしない絶妙なタイミングで、解説が入ります。時代背景や仕草の意味がわかると、楽しさも倍増。借りる際には使用料 700円と保証金を合わせた額を支払いますが、保証金はあとで戻ってきます。観終わった頃には、あなたも歌舞伎通!
隠れた名脇役、大太鼓
歌舞伎の伴奏はすべて生演奏。舞台上に見えている浄瑠璃や三味線だけでなく、効果音も舞台に向かって左側、下手にある黒い塀の向こうで演奏されています。中でも天候や自然の情景を表すのに活躍しているのが大太鼓。雨や風、川の流れや波の音まで、細長いばちで打ち分けます。雪の場面では、「どーん、どーん」と先を布や綿で包んだばちで柔らかく叩きます。実際雪が降るときに音はしませんが、雪の日の静けさが伝わってくるよう。テレビでも耳にする、幽霊が現れるときの「ドロドロ ......」という効果音も大太鼓です。客席から姿は見えませんが、物語を盛り上げる隠れた名脇役にも、ご注目ならぬご注耳!
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