特集 笑い
Photo:Ko Hosokawa
伊藤千枝(珍しいキノコ舞踊団)人とふれあい、自然と笑顔に
「珍しいキノコ舞踊団」を主宰する振付家の伊藤千枝さん。子どものころから踊りが好きで、大学で出会った仲間と念願のダンスの団体をつくった。コミカルな振りで独特な世界観を表現する舞台作品は、メンバーと手探りでつくられる。「パズルのピースを探すように、何でもいいからやってみる。つくっていく中で、自然と笑顔になるようなことが出てくることが多い。顔がぱっとはじけるというか、そうなるといいなと思いながら作品つくったり、踊ったり」。
伊藤さんの思うダンスとは、「自分の中から、感情から生まれてくる動き」。 "かっこいい "舞台を目指しているけど、 "クール "ではない。はずしたところにある面白さを求めるのは、昔みていたドリフターズやアニメの影響もあると言う。いつも念頭にあるのは、お客さんに笑顔になってほしい、みんなと一緒に踊りたいということ。
その思いから、子どもや親子、さまざまな年代とのワークショップも、人と人がふれあうことがテーマだ。さすったり、背負ったり、トンネルをつくって通り抜けるゲームをしたり、気がついたら身体を動かしている。必死になって動いているうちに、自分の身体の身体性に気づいたり、人の重さを感じたり、汗びっしょり。ダンスでは、表現するものが自分の身体しかない。「『ダンス楽しいでしょ』、もあるけど、『人間讃歌』。『人ってすごいでしょ、素晴らしいでしょ人間って』、ていうことを最終的に伝えたい」。
学校でのワークショップでは、大人しい子が積極的に動き出して先生に驚かれることもある。「今の社会では、人目が気になる。ワークショップでは、そういうことが気にならない時間をつくりたい」。縮こまらない、身体と心がつながる表現から、笑顔が生まれる。
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