SANZUI vol.07_2015 spring
特集 ホレボレ
青春の頃、誰もが通る「惚れ惚れ」という道がある。
憧れのアイドルやアーティストに夢中になって、
その姿や音楽、パフォーマンスが、寝ても覚めても頭の中から離れない。
しかし、大人になっても、「惚れ惚れ」している人がいる。
舞台の上の演者を見つめて、うっとりして、ぼんやりして、
目がハートマークになっている人がいる。
歌い、叫び、そして、その「惚れ惚れ」という思いは、
人生に若さや輝きを与え、力強く生きるパワーになっている。
「惚れ惚れ」って、素晴らしい。
リビドーと芸術の昇華は
年を追うごとに高みに。エドツワキ(イラストレーター)
Photo / Shunya Arai, Yoshiharu Ota, Miku Nakajima
椎名林檎さんと初めてお会いしたのは10 年ほど前か。以来、林檎さん、東京事変のショウに足を運んでは、圧倒され続けている。自分の100の目と耳を凝らし、官能の一挙手一投足を追い、場を支配する歌声を浴びる。リビドーと芸術の昇華は年を追うごとに高みにあり、膨大なエナジーを我々の頭からつま先、細胞のひとつひとつにまでくまなく放射し、彼女は去ってゆく。昨年11月のアリーナ、大きな翼を蓄え、ツインの一角嬢を従え、長いストラップでギターを弾き歌う姿。そこで果てたのは自分だけではあるまい。
椎名林檎
福岡出身。98年デビュー。99年の「無罪モラトリアム」、翌年の「勝訴ストリップ」とアルバムが立て続けにミリオンセラーを記録。04~12年はバンド東京事変でも活動。2008年 映画『さくらん』で第31回日本アカデミー賞 優秀音楽賞、2009年 芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。複数のアーティストや舞台、映画への楽曲提供も行っている。昨年末開催されたアリーナツアーの模様を収録したDVD&Blu-ray『○生林檎博'14-年女の逆襲-』が好評発売中。(※情報は発行当時)SANZUIの著作権は、特に明記したものを除き、すべて公益社団法人日本芸能実演家団体協議会
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