エッセイ
Illustration / Asuka Kitahara
大西洋「日本の伝統芸術を後世に」
私は月に1 回くらいのペースで、歌舞伎や演劇、オペラやコンサート鑑賞に足を運びます。非日常的な空間の中で、歌舞伎、演劇、オペラ、コンサートと異なったカテゴリーでも共通していえることは、生で観て肌で感じることで魅了され、奥深さや美しさ、技術の高さに堪らない感動を覚えることです。
毎年10月には新宿御苑で「森の薪能」が開催されます。私が理事長を務める新宿観光振興協会が主催し、今年で30 回を迎えることになりました。高層ビルの林立する大都会に残された比類ない新宿御苑の豊かな森の中という環境で、日本の伝統芸能である能や狂言を楽しんでいただくイベントです。幻想的なかがり火のもと、よりすぐられた演者・演目による、格調高い能舞台が作り出す幽玄の世界を一人でも多くの方に堪能していただきたく、継続してまいりました。
お陰様で好評を博し、今では全国から多くの方々にご来場いただいております。今後も新宿御苑の美しい炎を、永く永く燃やし続けたいと思っております。
実演芸術とは少し異なりますが、三越伊勢丹では2011 年度から、日本の伝統やモノ作りの素晴らしさを、百貨店という場を通じてお客様にご紹介する「ジャパン センスィズ」というキャンペーンを継続的に展開しております。これは世界で通用する日本の伝統技術や職人技、産地など日本の価値を再認識していただきたいという想いでスタートしました。今年はこの取り組みを世界へ発信するためニューヨークでも行いました。
日本の伝統文化に生で触れる素晴らしさや感動を多くの若い人達に感じてほしいのです。そして私たちは、日本の素晴らしい伝統芸術を後世に継承するために、披露する最適な場を提供し継続してまいります。それが私たちの大切な役割だと思っています。
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