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郷土芸能の楽しさ、文化と歴史を題材に~ 沖縄県立南風原(はえばる)高等学校郷土芸能部~
沖縄県南風原高等学校には、県内でも珍しい郷土文化コースがある。沖縄では、三線や踊りは身近なイメージだが、コースに所属する約30名の生徒の3分の2は実は初心者。授業では地唄、踊り、エイサー、獅子舞などの芸能の背景や基礎的な所作を学び、学校行事や地域の敬老会などでも披露している。郷土芸能部は、このコースの生徒を中心とする45名で、毎日放課後にさらに稽古に励んでいる。コースの20周年を記念した「在校生・卒業生有志合同公演」に向けた練習では、南風原町に伝わる琉球絣の糸染め、かせかけ、機織りの様子や、かぼちゃ、うーじ(さとうきび)、綱曳きなどを舞踊で表現する。勢理客美有さんは、中学生のときにこの公演に触発され、「私も郷土芸能をやりたい!」と入学を決意。ゼロからのスタートだったが、「好きだから楽しい!もっと上手くなりたい」と目を輝かせる。
部長の宮崎花澄さんは、小さいときから琉球舞踊や三線を習ってきた。部活では、流派にとらわれずみんなと郷土芸能に取り組む楽しさを感じている。入学当初は、慣れない団体での演技、全国大会を目指す熱心な先輩たちに圧倒されることもあったが、今は明るくて積極的な部員に助けられているとか。12月には宮古島の小中高生とお互いの芸能を学び合い、舞台をつくる機会があった。「宮古の子どもたちが本島の歌を楽しそうに謡っていて、嬉しかった!」。同じ沖縄でも異なる文化があることを肌で感じ、年少の子どもたちが堂々と独唱する姿にも刺激を受けた。また一つ、成長のきっかけをつかんだようだ。
南風原高校の卒業生でもある大城貴幸先生は、「芸能の基礎的なものを学ぶことで、文化の良さや歴史を知ってほしい」と温かく見守っている。なかには沖縄県立芸大や国立劇場おきなわの研修生に志願し、プロの実演家を目指す生徒もいるが、多くの生徒は保育士や介護士、バスガイドや観光産業などに目を向けているとか。仲間と日が暮れるまで部活に励んで、学内外での発表や大会への挑戦、それは生徒たちの将来にとって大きな糧になるだろう。
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