SANZUI vol.03_2014 winter
瞬演の舞台から
600年前に思いを馳せて能楽
難しそう、と思われがちな能楽。「楽しむためのヒントはストーリーのある演劇として観ること」と観世喜正さん。そうすれば台詞が聞き取れなくても想像で補える。次はどうなるんだろう?と考えながら観れば、舞台も近く感じられる。
興味の入口はさまざまだ。例えば装束に使われる絹織物『唐織』。「とても
柔らかくて軽い江戸時代の唐織を再現するために、土づくりから始めた研究
家もいます」布を織る糸、糸を吐く蚕、蚕が食べる桑、桑を育てる土......と遡った結果だとか。
能楽を観る時、私たちは600年前の人と同じ体験をしている。今は伝統芸能だが、当時は時代の最先端の芸能だった。「長く残ってきたということは、それだけの良さがあったのだと思います。はるか昔に思いを馳せつつ、お客さまそれぞれにとっての魅力を見つけてほしいですね」
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