「あみん」は大人のクラブ活動
――その後、岡村さんは「あみん」としてデビューして、ソロに転じたわけですけれども、近年はまた「あみん」としての活動も再び行っています。「あみん」は岡村さんにとって、いま、どういう存在なのでしょう?
「あみん」は再始動するときに「大人のクラブ活動みたいな感じで楽しくやろう!」ってふたりで決めたんです。そういうクラブ活動のような雰囲気で年に3本ぐらいのライヴをゆったりとやってきています。もともとが学生時代に始めたユニットなので、当時の楽しく始めたときの気持ちでやれる場所。そういう存在です。
――そういうクラブ活動的な「あみん」の作品と、ソロのシンガー・ソング・ライターとしての岡村さんの作品では、曲作りや歌詞のちがいは、どういうところに出ているんでしょう。
もちろん、「あみん」の世界観と自分のソロ作品での世界観はわけているつもりですし、それ以外でも、たとえば、ディープなラヴ・ソングは「あみん」のほうではあまり歌わないかな。本当の恋愛のラヴ・ソングは、やはりソロで歌うほうがしっくりきます。あと「あみん」はやはりふたりの声のハーモニーを聴かせる音楽という側面も強いので、ハーモニーで歌うとメロディのよさが薄れるかも、というような曲もソロのほうに持っていきますね。
――デビュー後に影響を受けたアーティストも多いでしょうか?
はい。ラジオで音楽番組のパーソナリティーをするようになって、そこでかけた洋楽のアーティストからの影響はとてもあります。
――たとえばどういう方たちでしょう?
80年代の洋楽が多いんですけれども、フィル・コリンズ、スティング、シンディ・ローパー、マドンナ...。きりがないですね(笑)。あとペット・ショップ・ボーイズも大好きです。
――ペット・ショップ・ボーイズ(イギリスの打ち込み音楽ユニット)ですか! そういえば岡村さんの新しいアルバム『NO RAIN, NO RAINBOW』でもシンセサイザーの音がかなり聴こえますね。
はい、けっこう入ってます。
――ところで、ラジオには出られても、岡村さんはソロになってテレビの音楽番組にはほとんどご出演なさらないですね。
「あみん」のときに「待つわ」という曲がポプコンでグランプリをいただいて、とてもみなさんに聴いていただけました。当時はアイドルの全盛期、テレビの音楽番組も全盛期で、「ザ・ベストテン」「ザ・トップテン」「夜のヒットスタジオ」をはじめとしたたくさんの音楽番組にも出演させていただきましたが、あのときは、ちょっと大変な数の出演になってしまって、もともと、ゆっくりと存在を知ってもらえればいいなと思って始めた私たち的には、ちょっと違和感もあったんです。なんか違うなあと思っているうちに、加藤さんが大学に戻ることになって「あみん」の活動は終了してしまったんですけど、ソロとして再スタートするときに、あのときとは違う、地に足を着けた活動をしたいと思ったんです。
――「あみん」は大ブームになりましたものね。
そうなんです。「あみん」が終わって、私もいったん郷里の大学に戻って、よしこれからは車の免許も取ろう、花嫁修業もしよう! そう思いつつ、アマチュアとしてたまに歌ったりするのもいいなと、曲はちょこちょこ書きためていたんです。その後に、ソロとして再デビューしませんか? というお誘いを受けました。その際に、今回こそ地道なライヴ活動を重ねて自分の歌や音楽を浸透させて行きたいなと思ったんです。だから当面はテレビには出ない方向でスタートさせたのですけど、いつしかそれが当たり前になっちゃって、「そういえば出てないな」なんて(笑)。ふつうにアルバム作りとライヴ活動を繰り返すうちに最初にテレビに出ないことにしたということすら忘れてたんです(笑)。で、そんなときに、NHKから「夢・音楽館」という番組でさださんと共演しませんかというお話しをいただいて、さださんとでしたらぜひと、ひさしぶりにテレビに出演することになりました。
――さださんと共演ですか。本当に縁が深い!
さださんの歌を聴いたことがきっかけでこの世界に入り、長い年月が経ったいまでも続けていることができる。本当に感謝の気持ちがあって、それをぜひさださんに直接お伝えしたいということもあって、2005年に「夢・音楽館」に出演することに決めたんです。