ミュージシャンとの多彩な交流
―― ミュージシャンといえば、岩澤さんはスティービー・ワンダーや井上陽水、松任谷由実など、多くの人たちと交流がありますよね。 そうですね。僕らが1973年にイギリスでレコーディングしたとき、プロデューサーの友だちがスティービーのエンジニアで、紹介されて彼と知りあったんで す。ちょうど「スーパースティション」が大ヒットして、彼がスターになったときです。その後、僕らもスティービーのスタジオにいったり、彼が日本にきたときに会ったりと交流が続いているんです。僕と弟がお互いにソロのアルバムをつくろうってなったとき、僕がスティービーのところにいって「何か曲をくれないか」ってもらったのが「I just called to say I love you」だったんです。ところが、それを細野晴臣がアレンジして、ユーミンが詩を何回も書き直してくれてOKになった時点で、スティービーのほうから「映画に使うからちょっと待ってくれ」っていってきたんです。それで待ってたら、なんと9年もたって「Woman in red」という映画で使われて1位の大ヒットになったんです。その直後に僕たちも日本語で歌ったんだけど、誰も知らないですよね(笑)。その後もいろいろあって、別の曲をスティービーに書いてもらったりしています
―― 娘さんのAisaさんもミュージシャンになって、「ベアフットコンサート」など岩澤さんと活動をともにすることも多いですよね。 彼女のためにベアフットをはじめたんですが、Aisaの20歳の誕生日がちょうど地元、鵠沼のベアフットの日で、そのときにステージから初めてこの話をしたんです。それを聞いて彼女自身もベアフットに主体的に関わりたいと思ったようです。次世代のベアフットをささえてくれるのはうれしいですね。
―― 父親としては、心配事がたくさんあるんじゃないですか。 ミュージシャン同士から生まれた子だから、音楽の耳年増ですね。音楽の才能はわりとあるんじゃないかと思ってるんです。ミュージシャンのうけが良くて、僕世代のミュージシャンから「一緒にやって!」って誘われることは多いですね。ただ、彼女のスイートスポットがどこか、まだわかっていないなっていう感じですね。今はとにかく、いい音楽を残していくっていうことを彼女が思っていれば、ミュージシャンとしてずっと続けていけるんじゃないかと思っています。
―― 父親としては、あまりうるさいことはいわない... 僕なんかより音楽の才能あるから。僕なんか何もないですから。いや、ほんと(笑)。音楽教育も全然受けてないし。そういう意味では、Aisaは音楽教育を 受けているし、音に対する感性とかは、けっこういいものがあると思います。親からいうのも変ですけど。
―― 湘南を拠点として環境を大切にする「ベアフット」の音楽活動は、今後も続けていく予定ですか?
10月12、13日は、「夢の島ベアフットフェスティバル」を夢の島公園で、10月18日は片瀬江ノ島海岸で「ベアフットくげぬま」を開催します。ぜひ来てください!僕はいま何か、「目覚める時代」のような気がするんですよ。みんなが気がつかないといけない時代。本当に大変なときなんだと訴えて、世界をより良く変えていく。そんな声を上げる頼もしいリーダーや人びとのなかの、ひとりではいたいなと思っています。
―― やはり子どもたちには、ちゃんとした環境を手渡したいですよね。今後もぜひ、続けていっていただきたいと思います。今日はありがとうございました。
(2008midsummer 横浜港を一望するbar「StarDust」にて)