お知らせ

2018.02.15

「知的財産推進計画2018」の策定に向けて意見書を提出しました

2月15日、「知的財産推進計画2018」の策定に向けた意見書を提出しました。知的財産推進計画は、政府が実施すべき知的財産関連施策について、知的財産戦略本部が定めるものです。


今回の意見書では、「クリエーターへの適切な対価還元」、「レコード演奏・伝達権(仮称)の創設」、「円滑なライセンシング体制の構築」及び「著作物の保護期間延長等の早期実現」の四点について述べています。


意見書の全文は以下の通りです。


知的財産推進計画2018の策定に向けた意見

1 クリエーターへの適切な対価還元

 この問題は、私的録音録画補償金制度の見直しとして2003年7月の「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」において取り上げられて以降、毎年、知的財産推進計画に掲げられているが、現在に至るまで結論は得られていない。
 この問題を検討する「文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会」においても、今年度の実態調査を通じて、補償金の課されていない機器等による私的録音録画が、依然として大量に行われていることが再確認された。このような不均衡を是正し、経済的合理性を備えた新たな制度を構築することが急務である。「知的財産推進計画2018」では、政府がこの問題の解決について主導的な役割を果たし、積極的かつ具体的にスピード感を以て取り組む旨を明記するべきである。


2 レコード演奏・伝達権(仮称)の創設

 クラブ、レストラン、店舗でのCDの再生、あるいは、音楽ラジオ放送やウェブキャストを受信して来店者に音楽を聞かせる行為に係る権利は、日本も加盟する著作隣接権関連条約で認められた権利として多くの国で導入されている。しかし、我が国では未だ導入されておらず、昨年12月に交渉妥結に至った日EU経済連携協定(EPA)においても、その適切な保護について継続して議論することが盛り込まれた。我が国の保護レベルを国際水準にまで高めるためにも、速やかに実演家とレコード製作者の「レコード演奏・伝達権(仮称)」創設に向けた検討に着手すべきである。


3 円滑なライセンシング体制の構築

 インターネット時代の新しいコンテンツの利用形態に柔軟に対応するためには、円滑なライセンシング体制の構築が肝要である。権利者に一方的な負担を強いる権利制限等に比べ、ライセンシング体制の構築は、著作権法の目的である権利保護と公正な利用を両立できる点で優れる。例えば、「情報通信審議会 情報通信政策部会 放送コンテンツの製作・流通の促進等に関する検討委員会」では、放送コンテンツのネット同時配信に係る権利処理が検討されているが、これもライセンシング体制の構築により円滑な利用が実現すると考える。


4 著作物等の保護期間延長等の早期実現

 平成29年11月24日TPP等総合対策本部決定「総合的なTPP等関連政策大綱」において、政策大綱実現に向けた主要施策として「著作権関係の制度整備(著作物等の保護期間の延長等)」が掲げられた。これを早期に実現すべく、2016年12月9日に国会で可決された「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(第190回国会閣法第47号)」の速やかな施行を求めたい。