2016.02.05
「知的財産推進計画2016」の策定に向けて意見書を提出しました
1月29日、「知的財産推進計画2016」の策定に向けた意見書を提出しました。知的財産推進計画は、政府が実施すべき知的財産関連施策について、知的財産戦略本部が定めるものです。
意見書では、「クリエーターへの適切な対価還元」、「円滑なライセンシング体制の構築」及び「レコード演奏・伝達権(仮称)の創設」の三点について述べています。
意見書の全文は以下の通りです(PDF版はこちら)。
「知的財産推進計画2016」の策定に向けた意見
公益社団法人日本芸能実演家団体協議会
1 クリエーターへの適切な対価還元
知的財産推進計画2015では、持続的なコンテンツ再生産につなげるための環境整備として、クリエーターへの適切な対価還元につき文化審議会において検討を進め、必要な措置を講ずるとされているが、現在に至るまで結論は得られていない。
「私的録音録画に関する実態調査報告書」(2014年3月、公益社団法人著作権情報センター附属著作権研究所)では、補償金の課されていない機器等による私的録音録画が、依然として大量に行われていることが確認された。これは、大量の私的複製から適切な対価が還元されていない「クリエーター」が存する一方、「ユーザー」は自由な私的複製環境を享受し、「複製手段を提供する者」が複製機能を有する機器やサービスの販売等により大きな利益を得ていることを示している。
2 円滑なライセンシング体制の構築
インターネット時代の新規ビジネスの創出、人工知能や3Dプリンティングの出現などの技術的・社会的変化に対応するためには、これらの新しいコンテンツの利用形態に柔軟に対応できる円滑なライセンシング体制構築に向けた検討を、官民が十分に連携し、進めるべきである。柔軟性の高い権利制限規定の導入により、これに対応すべきとの意見もあるが、規定の導入を正当化する具体的な立法事実は未だ示されておらず、安易にクリエーターの権利を制限することは、避けるべきである。
円滑なライセンシング体制の構築は、利用者が著作物等を簡単に利用できるようになる一方で、権利者も正当な対価が得られるWIN-WINの関係を築くものであり、著作権法の目的である権利保護と公正な利用を両立する取り組みである。ロッカー型クラウドサービスについては、既にこの取り組みが進められているが、その他の新しいビジネスやサービスについても、ニーズをふまえ、対応していく必要がある。
3 レコード演奏・伝達権(仮称)の創設
CDの再生や、音楽ラジオ放送を受信して伝達する等の方法により来店者等に音楽を聞かせる行為について、実演家及びレコード製作者の権利として「レコード演奏・伝達権」(仮称)を創設し、レコードの演奏・伝達により得られる経済的利益の一部が実演家とレコード製作者に還元される法制度の創設を検討すべきである。
以 上