令和5(2023)年度実演家著作隣接権センター(芸団協CPRA)事業概要報告
芸団協CPRA
2023年度 徴収分配実績
①徴収実績
二次使用料等の徴収額は約77億円(前年度比98.7%)となった。広告収入減に伴い二次使用料の徴収額は減少傾向となる一方で、放送番組の見逃し配信を中心とした配信サービスに係る送信可能化使用料の徴収額は増加したため、徴収額は同水準に留まった。テレビ番組配信を行うTVerが好調であり、見逃し配信サービス全体の成長状況を踏まえ、送信可能化使用料の適正な対価について利用者団体と協議を行った。
その他、貸レコード使用料・報酬の徴収額は約2億3000万円(前年度比72%)となり、縮小が進んでいる。
②分配実績
貸レコード使用料・報酬は徴収額の減少に歯止めがかからないことを受け、年2回の分配を年1回とする規程変更を加えた上、その他の支分権も含め、管理委託契約約款及び分配規程に基づき適正に分配を実施した(総額約71億円)。また、分配業務のさらなる精度向上のため、委任及び作品DB等の拡充を継続するとともに、権利委任団体間のデータ共有による業務の効率化を進めた。
なお、2020年度末に発生した商業用レコード二次使用料海外徴収分の誤分配で過払いとなった権利者に対する返金請求業務は継続して行っている。
③海外徴収分配業務
30団体から約8420万円の徴収を行い、31団体に約3億1500万円及び44エージェントに約1億1000万円の分配を行った。また、音楽市場規模の成長が著しいアジア地域における権利管理団体育成支援として第1回アジア団体フォーラムを実施するなど、中長期的な視点での海外徴収業務の強化にも努めている。
その他業務
①30周年記念事業を実施
2023年10月にCPRAは設立30周年を迎えた。記念事業として、これまでの歩みをまとめた特設ウェブサイトを公開。また、昨今の技術革新や、音楽の創作・実演・聴取の仕方の変化に伴う実演家の権利のあり方について啓蒙を図るため、オンライン・セミナー動画を制作した。
②著作権・著作隣接権を巡る課題の解決に向けた活動
文化審議会ほか関係省庁の審議会、検討会や関係団体の会議に参加。著作権制度等の改善や再構築に向けた議論に積極的に発言し、DX時代に対応したクリエイターへの適切な対価還元や、AIと著作権に関して、ヒアリングを通じた意見表明や意見提出を行った。
③著作権・著作隣接権制度の普及啓発
国内外の関係機関などに参加協力し、講師派遣等を行うとともに、学会など学際的な場を通じてネットワーク形成に努めた。
④『CPRA news Review』の発行、ウェブサイトの運営
芸団協CPRAの活動を周知し、実演家・権利者を取り巻く社会状況への理解を深めるため、『CPRA news Review』を2回発行した。また、ウェブサイトを運営し、芸団協CPRAの業務概要、実演家の権利等に関する国内外の最新動向等について、SNSも活用しながら情報発信に努め
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【関連ページ】
≫公益社団法人日本芸能実演家団体協議会 2023年度年次報告