「実演家の権利管理に関するアジア団体 フォーラム」を実施
芸団協CPRA 海外業務部
2023年11月15日~17日の3日間に亘り、「実演家の権利管理に関するアジア団体フォーラム」を実施した。
芸団協CPRA海外徴収・分配委員会では、アジア地域における団体育成支援を事業計画の柱の一つとして掲げており、2010年度以降はアジア地域の団体から職員を招いての権利管理の実務研修を実施してきた。2023年度については、各国の現状を総括することと各国の担当者がお互いに顔を合わせて繋がることを目的に、アジア地域のすべての実演家の権利管理団体が一堂に会するフォーラムという形式での開催に切り替えた。
現在、アジア地域において実演家の権利管理団体が存在する国は日本を含めて8ヶ国(インド、インドネシア、韓国、マレーシア、ネパール、フィリピン、ヴェトナム)であり、今回はインドネシアと韓国を除く5ヶ国から6名、これにあわせてタイ ※1 からの参加があった。
また、半数の団体が実演家の団体の国際組織であるSCAPR ※2 に加入していないため、SCAPRにも協力を依頼し、事務局長のRémy Desrosiers氏に参加いただいた。
期間中には、芸団協CPRA及びSCAPRの業務紹介と各国の参加者によるカントリーレポート、これを受けてのグループディスカッション、コンサルテーションなどを行ったが、いずれのセッションも予定時間を超過するほど活発に質疑応答や意見交換が行われた。
そして、実務のノウハウが十分でないために正しく権利行使ができていない団体、利用者やレコード製作者との間での交渉がうまく進まず国内徴収に苦労している団体、政府が複数の団体を認可することによって利用者をも巻き込んだ権利処理の複雑化に苦労している団体など、議論を通して各国の抱える課題が浮かび上がった。これらをもとに、芸団協CPRAとしての今後の支援策を講じていきたい。
言うまでもなくこれらの支援事業の最終目標は、とりわけ近年では配信を中心に規模の拡大が著しいアジア地域の音楽市場から、実演家分の著作権等使用料を適正に徴収することにある。長い道のりではあるが、今後も引き続き各国と密に連携を取りながら、育成支援事業に積極的に取り組んでいきたい。
【注】
※1 タイの団体PNRは現在レコード製作者の権利のみを管理しているが、2024年度よりジョイント・ソサエティ(レコード製作者と実演家の両方の権利をまとめて管理する団体)への組織改編を目指している (▲戻る)
※2 Societies' Council for the Collective Management of Performers' Rights(実演家権利管理団体協議会) (▲戻る)