令和5(2023)年度 実演家著作隣接権センター(芸団協CPRA)事業計画
芸団協CPRA
実演家著作隣接権センター(CPRA)は、一般社団法人日本音楽事業者協会、一般社団法人日本音楽制作者連盟、一般社団法人演奏家権利処理合同機構MPN及び一般社団法人映像実演権利者合同機構との協力関係に基づき、その業務基盤の整備を行い、実演家の権利擁護及び集中管理に係る専門機関として一層の充実を図るとともに、以下の権利処理及び調査研究広報活動を推進する。
(1)文化庁長官の指定に係る業務(指定団体業務)及びこれに準ずる業務を適正に実施する
1)実演家に係る放送及び有線放送における商業用レコードの二次使用料につき、権利行使の受任、総額の取り決め及び徴収分配を行う。分配については、使用楽曲を対象としたノンフィーチャード・アーチストの参加データを収集する新たな枠組みを構築し、課題とされているデータの網羅性向上と、一層の精緻化を図る。併せて、配信音源に関する二次使用料の分配を進める。
2)実演家に係る商業用レコードの貸与報酬及び使用料につき、権利行使の受任、総額の取り決め及び徴収分配を行う。令和3年度より開始している直接徴収については、権利者団体等との情報交換を重ねつつ、引き続きCDV-Jの協力を得ながら実施する。
3)実演家に係る私的録音補償金の分配を行う。
4)令和4年10月にブルーレイディスクレコーダー及びそれに使用する記録メディアが新たに私的録画補償金の対象機器として政令指定されたことを受けて、分配について検討する。
5)諸外国の実演家権利集中管理団体との新規の協定締結に向けた交渉を継続する。また、同協定締結団体との間では、国内で徴収した外国人実演家及び権利者のための使用料や報酬を分配し、海外で発生したCPRA委任者の使用料及び報酬の徴収を行い、海外エージェントに対してはその直接クレイムへの使用料等の分配を行う。さらに、海外団体との共有データベースIPD・VRDBで提供される非委任者情報及び分配保留楽曲情報の積極的な活用や、海外での使用楽曲データの調査研究等により、海外からの徴収額の増加に努める。
(2)実演家の著作隣接権及び報酬請求権の処理に関する業務を適正に実施する
1)商業用レコードの放送用録音につき、一任型管理事業として権利行使の受任、利用の許諾及び使用料の徴収分配を行う。
2)放送番組に使用された商業用レコードの送信可能化につき、一任型管理事業として権利行使の受任、利用の許諾及び使用料の徴収分配を行う。なお、オンデマンドストリーム配信の徴収については、一般社団法人日本レコード協会を通じて行う。
3)日本レコード協会を窓口として令和2年度に開始した、ウェブキャスティングに係る商業用レコードの集中管理について、使用料の受領及び分配に向け必要な整備を進める。
4)一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)の構成団体として、補償金の受領及び分配について準備を進める。
5)新たな利用態様に対応して管理委託契約約款及び使用料規程の整備を行い、集中管理の範囲拡大に向けた更なる研究を進める。
6)一般社団法人映像コンテンツ権利処理機構(aRma)との協力関係を維持する。
(3)指定団体及び著作権等管理事業者として各種権利処理業務を適正に進めるとともに委任者の管理を的確に行いデータセンターの充実を図る
1)調査・資料費について、将来における徴収額の見通し等も考慮しつつ、より利用実態に則したものとなるよう見直しを行う。
2)権利者団体及び関係諸団体との協力関係に基づき、新規の委任取得及び委任者データの管理を行う。
3)業務管理システムの改修及び機能の充実を更に進め、各業務のサポートを継続するとともに、関連諸団体とのデータ連携及び情報の共有を強化する。
(4)実演家の権利拡大と集中管理に向けた調査研究を展開する
1)国際条約に定める「公衆への伝達」に係る実演家の権利の在り方及び集中管理について、引き続き調査研究を行う。とりわけ、レコード演奏権の獲得のほか、ウェブキャスティング等の放送類似サービス及びサブスクリプションサービスをはじめとしたオンデマンド配信からの対価還元の在り方に関して、調査研究や運動の展開を継続する。
2)私的録音録画補償金制度について、その見直しも含め経済的合理性を備えた新たな制度等の構築に引き続き取り組む。国際的動向や過去の経緯を踏まえた調査研究を進め、制度の在り方等を検討する。
3)文化審議会著作権分科会におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方に関する議論に引き続き参加するとともに、我が国の著作権法改正及び国際的動向に対して機動的に対応し、関連諸制度について引き続き調査研究を実施する。
(5)権利拡大に係る運動、関係団体との協力、諸会合への参加等を積極的に行う
1)調査研究と広報活動とを密接に連携させつつ、文化庁をはじめとする政府、民間の諸会議に参加し、実演家の権利拡大に係る運動を展開する。関連して、文化芸術推進フォーラムへの参加協力を継続し、文化芸術振興議員連盟との連携を強化する。
2)実演家の肖像パブリシティ権の普及啓蒙及び不正使用に対する停止活動等を行うため、特定非営利活動法人肖像パブリシティ権擁護監視機構への支援を継続するとともに、肖像パブリシティ権に関する調査研究を引き続き実施する。
3)WIPO(世界知的所有権機関)の諸会合に参加するとともに、FIA、FIMへの支援を継続して連携を維持しつつ、実演家等の国際機関が主催する会合、地域セミナー等への協力を行う。また、著作権法学会、ALAI(国際著作権法学会)及びALAI Japan(国際著作権法学会日本支部)等の学際的な場を通じて、理論的な側面から実演家の権利等について調査研究及び情報収集を行うとともに、国内外のネットワークの形成、強化に努める。
4)アジア地域における実演家の権利拡大を目指し、WIPOや文化庁等がアジア・太平洋地域に向けて実施する著作権・著作隣接権制度の普及活動に協力するとともに、研修生等の受入れを積極的に行う。また、公益社団法人著作権情報センター(CRIC)の会員として、著作権・著作隣接権制度の普及啓発や調査研究に係る事業への参加協力を継続する。
5)SCAPRの総会、委員会及びワーキンググループに参加するとともに、データに基づいた相互の透明性の高い徴収分配が実施できるよう加盟団体との連携を継続する。また、セミナーやオンライン教材に講師として参加し、開発援助事業に協力する。
6)「実演家の権利の集中管理に関する研修」を実施し、アジアの団体に対して実務面からの育成支援を行うとともに、今年度からは「アジアCMOフォーラム(仮称)」を韓国との協力のもとで開催し、アジア地域の連携を強化し全体の底上げを目指す。
(6)実演の価値や実演家の権利、芸団協CPRAの活動等に対する理解を促進する広報活動を展開する
1)機関誌「CPRA news Review」を定期的に発行し、権利者、利用者、実務家、研究者及び政府関係者等に向けて、実演家の権利や芸団協CPRAの活動、徴収・分配の実務、実演家の権利をめぐる諸問題について理解を促進するための広報活動を行う。
2)即時性が高くかつ広く一般に訴求できるウェブサイトやSNSを積極的に活用して、芸団協CPRAの認知度を高め、その活動への理解を促進するための広報活動を行う。ウェブサイトやSNSを中心とした広報に転換する観点から、必要に応じて、ウェブサイトの拡充等を行う。
3)実演家の権利について普及啓発を行うため、関係団体と連携した広報活動を実施する。そのほか、実演家の権利や芸団協CPRAの活動について、様々な方法による広報活動を検討し、必要に応じて実施する。