松武運営委員が、ジャン・ミシェル・ジャールCISAC会長と対談
芸団協CPRA 法制広報部
5月30日、著作権協会国際連合(CISAC)総会の東京開催に合わせ来日したジャン・ミシェル・ジャール会長と、松武秀樹芸団協CPRA運営委員が対談した。ともに著名なシンセサイザー音楽家の二人は、シンセサイザーの話で盛り上がったのち、著作権を巡る問題について議論した。
ジャール会長からは、先般採択された新EU指令に関し、CISAC会長として、そして一アーティストとして積極的に運動してきた経緯が熱く語られた。とりわけ、「スマートフォンがスマートなのは、我々の作品を使えるから。新EU指令は、インターネット上で我々の作品を使用することを禁じてはいない。使用するなら、アーティストや著作者をリスペクトし、相応の報酬を支払うよう定めたことに意義がある」と、YouTubeのようなオンライン・コンテンツ共有サービスプロバイダによるコンテンツの利用について定めた条文の重要性を強調した。
また、松武委員が「今の若者は、音楽は無料だと思っており、その音楽ができるまでに、沢山の努力があり、多くの人が携わっていることが全く教えられていない」と指摘すると、ジャール会長は「仰る通り。創造の価値を教えることが大切。GoogleのようなIT企業は、アーティストや著作者を守る立法はクールではない、そのような立法により表現の自由は失われる、と、特に若者にPRしたが、実際はその逆である。アーティストや著作者が自分たちの作品に対し相応の見返りを得て、生活できなければ、それこそが表現の自由の大きな障害となる。なぜなら、彼らが表現をしなくなってしまうからだ」と同意した。
松武委員から、「日本でも、創造のサイクルを絶やさないために、高い著作権保護を実現していかなくてはならない。ぜひお力添えいただきたい」と述べると、ジャール会長は、「CISACとしても、新EU指令を一つのモデルとして、他の国々に広めていきたい」と快諾するとともに、「松武さんのような知名度のあるアーティスト自ら、著作権保護の重要性を訴えていかないと、第二のYMOは生まれない」と激励した。
今回の総会開催は、JASRACが創立80周年記念に招致したもの。JASRACは理事団体として、CISACで中心的役割を果たしている。対談の詳細は、7月25日発行の「サウンド&レコーディング・マガジン」に掲載される予定。