権利者団体会議委員からのご挨拶
一般社団法人日本音楽制作者連盟 理事長 門池三則
一般社団法人演奏家権利処理合同機構MPN 理事長 椎名和夫
一般社団法人映像実演権利者合同機構 代表理事 小野伸一
CPRA新体制での活動について
一般社団法人日本音楽制作者連盟
理事長 門池三則
CPRAは、これまで実演家の権利に基づく使用料について徴収・分配業務の効率化や精度向上を進めてきました。今後も立ち止まることなく、徴収・分配業務を一層進展させていかなければなりません。そこで、これまで培ってきた徴収・分配のノウハウも活かしつつ、もう一方では様々な観点から、現状の徴収・分配方法の課題を検証し、諸外国の事例も参考にして、権利行使のスキームやデータ取集・活用の方法などを検討する必要があると思います。
さらに、実演家の著作隣接権の現状についても、欧米諸国との相違点を洗い出し、グローバルな視点で、ネット時代に相応しい著作権制度の在り方を研究し、関係各所へ提案していくことが必要であると考えます。過日のCPRA勉強会で取り上げたレコード演奏権など、まだまだ我が国の実演家の隣接権は遅れをとっているところもありますので、国内外の関係団体との連携を深め、協力体制を確立しながら、今秋よりスタートする運営委員会や各委員会メンバーの皆さんには、積極的な議論をお願いしたいと思います。
打たせて捕る野球
一般社団法人演奏家権利処理合同機構MPN
理事長 椎名和夫
音楽を利用する場面は飛躍的に拡大し続けています。放送や有線放送、レンタルといった伝統的なものから、ネットを経由したさまざまな利用へと拡散が進む中で、実演家の権利処理を担うCPRAとしては、「徴収」「分配」の両面から、こうした状況にしっかり対応していく必要があります。こと「分配」に関して言えば、利用される楽曲数とそれに関わる権利者数の増大という本質的課題について、IT技術を背景に、データの精緻化、処理の高度化などの取り組みはルーティーン化しており、ある程度軌道に乗ってきているといえますが、「徴収」という面から見れば、さまざまな要因からまだまだ不十分であるのが現状です。欧米各国においては、こうした「拡散」に関係者が積極的に取り組むことにより、不振といわれた音楽産業が全体として回復の兆しを見せていますが、わが国においては、そうした取り組みがまだまだ進んでいないといわざるを得ません。「著作権」が「禁止権」であることばかりが強調されすぎる嫌いがあり、この10年ほど、反著作権キャンペーンに対する対応が権利者団体の仕事の中で大きな割合を占めるという、いささか本末転倒ともいえる状況に陥っているのが偽らざる現実です。表現が適切かどうかわかりませんが、「打たせない野球」ではなく、「打たせて捕る野球」へと、発想を転換する時期にあると思うのですが、如何なものでしょうか。
時代に沿った適正な対価還元を目指して
一般社団法人映像実演権利者合同機構
代表理事 小野伸一
本誌CPRA news第90号の発行日は10月31日。42年前―1976年のこの日は、家庭用VHS方式のビデオレコーダーが発売された日だそうです。言うまでもなく、この半世紀弱の間にコンテンツの楽しみ方は非常に様変わりしました。レコーダーによっていつでも楽しめるようになり、ポータブルプレーヤーによってどこでも楽しめるようになり、今や、クラウド上に保存して持ち歩くことさえなく、かつ、高音質・高画質で楽しめるようになりました。
手軽により良いものを楽しめることは素晴らしいことです。しかし、利便性や楽しみ方が増したことに比例し、実演家をはじめとするクリエーターへ適正に対価が還元されているかというと、残念ながらそうとは言い難いことも事実です。
私的録音録画補償金制度の問題や、いわゆるバリュー・ギャップの問題など、クリエーターへの対価に関する課題は際限がありません。また、この半世紀弱で状況が様変わりしたように、今後も課題は常に生まれてくることでしょう。
今向き合うべき課題に取り組みながら、同時に将来を見据え、委員各位と共に、これからも権利者団体会議の一員として誠心誠意尽力して参りたいと思います。