総務省「放送コンテンツの製作・流通の促進等に関する検討委員会」の検討状況について
芸団協CPRA
現在、総務省・情報通信審議会情報通信政策部会「放送コンテンツの製作・流通の促進等に関する検討委員会」では、タスクフォースやサブワーキンググループを設置して検討が進められている。
検討委員会の設置
2016(平成28)年10月、情報通信政策部会は、総務大臣より「視聴環境の変化に対応した放送コンテンツの製作・流通の促進方策の在り方」について諮問を受け、専門的な事項を調査するため検討委員会の設置を決定した。検討委員会では、ワーキンググループを設置して、放送コンテンツの製作・流通の促進方策に係る取り組み状況等の把握と検討を続け、2017(平成29)年7月に中間報告書を取りまとめ、10月に中間答申が行われている(※1)。
中間答申以後、検討委員会の下に「放送コンテンツ権利処理タスクフォース」を設置して、放送や放送後のネット配信における、これまで積み上げられてきた権利処理の実務上の運用手続を参考にしつつ、具体的な同時配信の展開手法やサービス内容を踏まえて、権利処理の手続を整理し、具体的な課題を抽出した上で、これらの抽出された課題に対応するための具体的な権利処理方法の形成について検討している。また、タスクフォースの下には、作詞・作曲、レコード及びレコード実演に係る権利処理手続について検討する「音楽分野サブワーキンググループ」及び映像実演に係る権利処理手続について検討する「実演分野サブワーキンググループ」を設置して、いずれも非公開で検討している。
検討状況
〔タスクフォース及びサブワーキンググループにおける検討状況〕 去る1月25日に開催された第10回検討委員会では、タスクフォース及び各サブワーキンググループの検討状況の報告が行われた。まず、音楽分野サブワーキンググループではJASRAC、NexTone、日本レコード協会及び芸団協CPRAから権利処理手続の現状のほか、文化庁から権利者不明の場合の裁定制度や拡大集中許諾制度について説明があり、自由討議が行われている。自由討議では、集中管理団体の管理外となるアウトサイダーの取扱いのほか、同時配信の前提となるビジネスモデルに関する意見、NHKの権利処理手続ルールの形成が先行することによる民放への影響などに関する意見が出されている。また、実演分野サブワーキンググループでは、aRmaによる映像実演の権利処理手続の運用について説明が行われ、自由討議が行われている。
タスクフォースでは、各サブワーキンググループにおける検討状況の中間報告のほか、英国における放送コンテンツの権利処理について報告を受けている。
〔検討委員会における検討状況〕 1月25日に開催された第10回会合では、NHKによる放送のインターネット同時配信実験に関する結果報告や英国における放送コンテンツの権利処理に関する報告が行われた。NHKによる同時配信実験では、昨年10月末から4週間、調査対象者約8千人に対して放送番組の同時配信・見逃し配信等を行い、利用率や満足度などを調査した。結果からは、利用率平均が、同時配信で約18%、見逃し配信で約15%となり、いずれの満足度も「満足」、「やや満足」の合計で89%に上ったことが報告されている。また、2月15日に開催された第11回会合では、米国・英国における地上放送局の取組や、我が国においてネット配信を実施する放送事業者の取組などについても報告されている。
今後の予定
検討委員会、タスクフォース、音楽分野及び実演分野の各ワーキンググループにおいて、引き続き検討が進められる。夏頃に報告書を取りまとめ、情報通信審議会に報告のうえ、答申として取りまとめられる予定だ。(著作隣接権総合研究所 君塚陽介)
※1:詳細は「情報通信審議会中間答申公表」CPRAnews86号4頁以下(2017年10月)をご参照下さい。 (▲戻る)