平成27年度
実演家著作隣接権センター(CPRA)事業の概要について
実演家著作隣接権センター(CPRA)
去る6月28日に芸団協総会が開催され、平成27(2015)年度事業報告・決算が承認された。平成27年度実演家著作隣接権センター(CPRA)事業の概要について報告する。
1.平成27年度徴収・分配実績
平成27年度徴収総額は、前年度比87.1%と大幅な減収になった。最大の要因は一般社団法人映像コンテンツ権利処理機構(aRma)による放送実演の一任型管理事業開始及びCDレンタル店減少による貸レコード使用料・報酬の減収である。前者による減収が大半を占めるが、これら二要因による減収額は減収総額の98%になる。一方、商業用レコード二次使用料、録音使用料及び送信可能化使用料(以下、二次使用料等)は微増となった(101.1%)。
一般社団法人私的録画補償金管理協会(SARVH)は平成27年3月31日をもって解散し、法人解散に伴う最終の未払い権利者分配金を受領した。私的録音補償金の額も僅かなものとなっている。
二次使用料等の徴収総額に占める割合は80.1%となり、貸レコード使用料・報酬徴収額との合計は97.2%となる。来年度以降もこの傾向が加速するものと考えられる。
国内分配のうち、二次使用料等及び貸レコード使用料・報酬について、例年同様管理委託契約約款及び分配規程に基づき、適正に分配を行った。私的録音補償金は、一般社団法人私的録音補償金管理協会(sarah)が一部メーカーと録音媒体補償金に関する協議のため、権利者団体への分配が遅れたことから、前年度に引き続き、今年度も分配を保留した。
放送実演に関しても、前年度徴収分を分配した。なおaRmaによる放送実演の一任型管理事業開始に伴い、CPRAからの分配は今年度で終了となる。
海外については16団体から徴収を行い、26団体に分配を行った。また、今年度から海外エージェントへの直接分配を開始し、9社に対して分配した。エージェントに対する分配比率は海外分配総額の約7.8%にあたる。エージェントの数は今後も増加する見込みである。
分配業務のさらなる精度向上のため、委任管理・データセンターの拡充を図り、権利委任団体間のデータ共有を行い、業務の効率化を進めた。
2.法制・広報業務
①著作権制度等改善に向けた議論に積極的に参加
文化庁の文化審議会著作権分科会のほか、同分科会に設置された「著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会」及び「国際小委員会」など関係省庁の審議会、検討会や関係団体の会議に委員を派遣し、実演家を代表して、著作権制度等の改善や再構築に向けた議論に積極的に参加した。
実演家の権利に関する諸課題を検討する「権利問題研究プロジェクトチーム」を設置し、クリエイターへの対価還元、柔軟な権利制限規定をめぐる議論、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定締結
に伴う著作権法改正への対応等、重要な課題について検討した。
また、Culture Firstの運営にも協力し、私的録音録画と対価還元をめぐる新たな制度構築に向けた議論を行った。
②著作権・著作隣接権の普及啓発事業を実施
一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)協力の下、芸能花伝舎・新宿区主催「芸術体験ひろば」のプログラムのひとつとして、小中学生とその保護者を対象に、楽しみながら実演家の権利について学ぶクイズラリーを実施した。
海外で開催される集中管理に関するセミナーに講師を派遣し、アジアを中心とした研修生の受け入れ及び政府関係者・実演家団体代表等との意見・情報交換を行い、地域ネットワーク形成に努めた。
③広報活動を積極的に実施
実演芸術の魅力・楽しさを広く一般に伝えるため『SANZUI』を発行し、芸能花伝舎ギャラリースペースで写真展を開催した。また、CPRAの活動を周知し、実演家・権利者をとりまく社会状況への理解を深めるため『CPRAnews』を発行した。さらに、CPRAの活動を一層周知するよう、ホームページを一部リニューアルした。
立命館大学産業社会学部音楽関連団体共同寄附講座「エンタテインメント・ビジネス産業論」開講のための寄附活動を行った。