SANZUI vol.10_2016 spring

SANZUIぱっしょん

Photo/Mariko Tagashira(FESJ/2015)

音楽でつながる、世界が広がる ~相馬子どもオーケストラ~

福島県相馬市の子どもオーケストラは、子どもたちが音楽に親しむことを地域で支える場。東日本大震災後、学校でのクラブ活動への支援から、学校の枠を超えて参加できる週末弦楽教室がスタートした。今では90名の子どもたちが、それぞれのペースで音楽にふれている。

実は、福島県には、もともと器楽部(弦楽器のクラブ)のある小学校が多い。小1でヴァイオリンをはじめた菅野朱音さん(中3 / 2016年2月取材時)は、楽器を続けたくて弦楽教室に参加したうちの一人だ。新しく入った子に弾き方を教えることもあるし、学区の違う友達も増えた。「いろんな楽器、いろんな人と演奏できるのはすごく楽しい。高校生になっても続けたい」と、笑顔がこぼれる。

子どもオーケストラでは、弦楽教室の子どもたちに、吹奏楽をやっている高校生が加わる。以前はピアノでポップスを弾いていたという蔭山愛乃さん(中1)は、「弦楽教室でやるのはクラシック。かっこいい!管楽器の音もきれいで迫力がある」と、幅広い音楽、生の音にふれる時間を楽しんでいるようだ。一方、妹のひな乃さん(小1)からは、「れんしゅうきらい。むずかしい」と素直な声がもれてくる。中川颯くん(小5)は、ベートーヴェンの交響曲「運命(全楽章)」を含む約2時間のプログラムに兄弟でフル参加している。「弟と一緒にできるのも嬉しいし、みんなと合わせるのが楽しい。難しいけど、もっとちゃんと弾けるようになりたい」と、毎日家でも30分、コツコツ練習に励んでいる。

指導にあたる須藤亜佐子先生は、「練習の積み重ね、音楽の経験を通して、あきらめない子に育ってほしい」と、あたたかく見守っている。行政の理解を得ながらこの取り組みを進めるのは、エル・システマジャパン代表の菊川穣さん。「少子化で部活動が成り立たない学校もある。地域での取り組みは大事」と、ベネズエラ発の仕組みをベースに、弦楽に加えコーラスの教室も開かれ、岩手県大槌町での活動も始まった。様々な支援のもと、子どもたちの晴れの舞台も、ドイツや東京と広がっている。


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