SANZUI vol.09_2016 winter

エッセイ

Illustration / Asuka Kitahara

ピーター・バラカン「いつの時代も、音楽はラジオから」

音楽を聴くには、ラジオやCD、ストリーミング、いろんな方法があります。この 40年を振り返っても、聴く人を増やすには、メディアの役割が大きいと思います。 70年代は FM誌の黄金時代。 FM誌に曲名が全部出ているから、無料で聴いて、好きなものを買う。ラジオの電波が自由になった 80年代後半からは、J-WAVEができて、 J-POPが人気に。洋楽を聴く機会が減ってきました。

今、若い世代で洋楽を知らない人が多いのは、媒体がないから。ネット社会となった現代では、インターネットラジオで手軽に聴けるのが一番だと思います。そんな機会をつくりたいけど、日本の法制度では配信のハードルが高く、小さな番組ではスポンサーもつきません。このままだと洋楽文化は衰退する一方で、もどかしく感じています。

イギリスでは、 DJのジャイルズ・ピーターソンが、インターネットラジオでミュージシャンをどんどん紹介していて、著作権団体もそれをサポートしています。音楽を聴く機会が増えると、 CDを買ったりストリーミングで聴くことにつながるので、業界も柔軟に対応しています。

リスナーを増やすために、ラジオの果たす役割は大きい!本当にいい音楽が流れていれば聴きたい人は多いはずです。過去に担当した番組でもそう実感しました。ただ、ラジオ局の現状としては、広告収入の限界から番組の構成も左右されます。音楽業界では、すごく売れているものが少しあって、ほとんど売れていないマニアックなものがたくさんあって、中間のそこそこいいものの層があります。この中間が多ければ多いほど業界は健全だけど、いまやどんどん減っています。

テレビ局がかつて使っていた電波帯が使えるようになると発表がありました。小規模のラジオ局が 1つできれば面白いと思います。いい音楽を発信したい人、聴きたい人はたくさんいます。もしお声がかかれば、すぐにでも協力したいです。


PROFILE 1951年、イギリス・ロンドン出身。音楽評論家、ラジオDJ。ロンドン大学日本語学科卒業後、74年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。 80年に YMOのマネジメント事務所へ転職。その後、独立。2012-2014年、インター FM執行役員。『ラジオのこちら側で』(2013)など著書多数。

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