SANZUI vol.08_2015 autumn

エッセイ

Illustration / Asuka Kitahara

東海林のり子「私はライブ大好きです」

40代半ばから、60代にかけて、ワイドショーのリポーターとして、全国を駆け回っていました。「金属バット両親殺害事件」、「豊田商事会長刺殺事件」、「埼玉連続幼女誘拐事件」、「日航ジャンボ機墜落事故」など、発生した事件現場からは必ずといっていいほど、生の現場リポートがあります。事件の概要、現場の詳細な報告、近隣のインタビュー、それを短く短時間にまとめてオンエアーしなければならず、極度の緊張感の中での作業。しかし不思議なことに録画取材の時よりもリポートとカメラマンの息がぴったり合い生放送の醍醐味を感じる事が出来るのです。

今現在を伝える高揚感なのかも知れません。それと同じ様な感覚を、舞台やステージの観客側にまわった時にも味わう事が出来ると知りました。仕事などで疲れた時、劇場に足を運ぶ、ライブ会場で若者と一緒に手を振りあげる、やがてパワーが満ちてくるのを感じるのです。演じる俳優さん達のエネルギーや、楽しませてあげようとするミュージシャンの熱さが伝わってくるのです。今を共有出来ているという喜びなのかも知れません。「舞台は一生もの」という言葉通りなのでしょう。

20年程前、「午後の遺言状」という撮影現場で、あの大女優、杉村春子さんにお話をうかがった事があります。「『女の一生』も間もなく1000回をむかえるけれど、毎回芝居が同じなんて事は絶対あり得ないの。1回づつ違う。お客様も毎回違えば、反応も違う。その日の役者さんの状態もさまざま。だからあきる事なく続けることが出来るのよ。今日はどんな風に演じようかと考えるとワクワクするのよ!!」と。舞台は生き物なんだ、そしてそれが舞台の魅力なんだと納得しました。また素敵な芝居を見つけて行ってみましょう。そして、明日はロックフェス。元気をもらってきます。


1934年さいたま市生まれ。立教大学卒業後、ニッポン放送に入社。13年間のアナウンサー生活ののち、フリーとなり、「3時のあなた」、「おはよう!ナイスデイ」のリポーター。ロックバンド「X」のリポートで若者の支持を得る。現在はテレビ、携帯サイト、講演活動を行っている。(※情報は発行当時)

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