SANZUI vol.07_2015 spring

カンゲキのススメ

Illustration / Takao Nakagawa

vol.7

豪華な着物に面をつける能。「ややこしや〜」でよく知られる狂言。この能と狂言を合わせて「能楽」と呼ばれています。能は悲劇、狂言は喜劇ともいわれ、多くの能楽公演は、この二つがバランスよく組み合わされ楽しまれています。伝統という形式の中で、すべてガチガチに決められていると思われがちな能。実は、舞台上でジャズセッションのような掛け合いが生まれたりするほどダイナミックな面もあります。 実際に触れてみれば、現代の私達も十分に楽しめる要素がいっぱい! 今回は、難しいと思われがちな能にフォーカスして、リアルに公演を観に行くためのポイントをご案内します!

まずは迫力のある「鬼」から!?

観てみたいとは思っていても、どれを選べばいいかわからない...。そんなときには、演目のジャンルをチェック。能にはいろいろなタイプの演目があり、大きく「神・男・女・狂・鬼」の5つに分類されています。その中で初心者でも楽しみやすいのは「鬼」のジャンル。動きが大きく、迫力ある舞台が繰り広げられます。また、物語性の高い演目が比較的多い「狂」のジャンルも、ストーリーの展開が楽しめてお勧め。5つのジャンルは、神を「初番目物(しょばんめもの)」、男を「二番目物」、...鬼を「五番目物」と書かれている場合もあるので、ご確認を。

ストーリー予習で、楽しさ5倍

観に行く演目が決まったら、ネットや会場で入手できるプログラムで、予めストーリーを確認しておきましょう。さらに可能なら、それほど長くないので、演目の台詞(「詞章」といいます)を読むことにぜひチャレンジしてみてください。ネット検索で見つかる場合も多いです。美しい言葉も能の醍醐味の一つ。言葉が少し分かるだけで、舞台がグンと豊かに膨らみ、5倍楽しめること間違いなし!

伝統芸能こそインターネット

観劇するとき、まず目がいくのはステージの中央の登場人物たち。でもせっかく生で観るのなら、後ろのコーラスにもご注目ください。よく見ると、この人さっきも違う場面で見たような? そう、ミュージカルでは、主要登場人物以外の出演者はひとつの演目の中でたくさんの役を演じることがよくあります。次々に衣装を着替え、それぞれの役を演じながら歌って踊って大忙し。役名のないこともしばしばですが、彼らこそ、迫力ある音楽、説得力のある舞台をつくる陰の立役者なんです。ぜひオペラグラス(双眼鏡)の力を借りて、彼らの表情まで楽しみましょう。レンタルできる劇場もありますので、事前に確認を。

美しさを求め、舞台が傾斜!?

いよいよ観能へ! 幕がない能舞台は、何もかも丸見え。舞台の上に出演者が静かに登場し、準備をし、セットが組まれるところを静かに眺めるという時間から能は始まります。上演中はストーリーを追いつつ、ぜひ演者の足元にもご注目! 真っ白な足袋のつま先や足の運びの美しさを鑑賞しやすいよう、舞台も前に少し傾斜しているとか。(イラストはデフォルメしてますので、悪しからず!) 簡単そうに見えて、台風の風にも負けないほどの力強さを秘めるという能独特のすり足が、舞の美しさを生み出します。ちなみに、もし途中で寝てしまっても、周りの迷惑にならない限りOKと考える能楽師やお客さんは多いので、リラックスして身を任せてみましょう。

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