SANZUI vol.06_2015 winter

ロングインタビュー 小田和正

Photo / Ko Hosokawa   Text / Makoto Hasegawa

音楽は自分が選んだもの。その音楽に何もないってことはないと強く思っている。

新しい武器を持って、勝ちにいきたい

 2014年は精力的に全国ツアーを展開。繊細さと強靱さとを備えた伸びやかな歌声が胸を揺さぶる。歌を届けるんだという強い意志と熱い思いも伝わってくる。こんな67歳そうはいない。このパワーはどこから来るのだろう?

――ライブをやる楽しみ、醍醐味はどういうところにありますか?

 自分としては〝コンサート、楽しいよね〞ってところからはスタートしていないんですよ。みんなが待ってくれている場所に行って、歌ったら、みんなが喜んでくれて、結果として、〝オレも楽しいや〞ってことになるんだけど、やる前はみんなが楽しんでくれるだろうかって不安がまずある。パターン化したステージはやりたくないし、新しい武器を持って、勝ちにいきたいわけじゃない? 武器って曲しかないから、その準備がまず大変で。戦えない武器を持っていってもしょうがない。これはいいフレーズが書けたんじゃないかなって自分の感覚を頼りに曲を作っていくけれど、リハーサルが始まっても不安はぬぐえない。お客さんに馴染み深い曲をやれば喜んでくれるけれど、そういうやり方ではなく、新しい曲で喜んでもらいたいわけだし。今回のツアーは、新たに作ったオリジナルアルバムの曲を全部やるということで、自分としては勝負だったから。

――実際にやってみての手応えは?

 みんなの前でやると、スタジオでやる音像とはまた違う感じになって、アルバムを作った時点から先に進んでいくイメージはあった。お客さん、喜んでるな、良かったなって。

――ライブ中に客席の中に入っていって盛り上げる場面があります。以前はステージを降りなかったと思うのですが、いつ頃から始めたのですか?

 最初にやりだしたのは21世紀になる時に八景島でやった年越しライブ。野外で寒いのに、来てくれているんだから、客席の一番後ろまで花道を作ろうってことになり、やったら、みんな、ホントに喜んでくれて(笑)。そんなにうれしいの?ってくらい(笑)。こんなに喜んでもらえるなら、どんどん行くべきじゃないかと。近づくと、こっちも発見があるわけ。そうか、若い子は親に連れられて来てるのかとか、このおっさん、どうして来てるんだろうとか(笑)。

――ライブで歌う時、大事にしていることというと?

 ピッチのことを考えて歌ってる。ちゃんと歌わないと、マイナスされることが多くなって、届かなくなるから。自分もうまく歌えた時のほうが次の曲に乗っていけるしね。心を込めて歌っても、入れ込みすぎると、2日目は同じふうには歌えないし、続けることで演じ始めるのは嫌だから。毎回、まっさらなところから始めようと。

――それって、すごいことですね。

 疲れますね(笑)。まっさらってことは保証されてないってことだから。盛り上がりを作っていけるはずだって信じてスタートするけれど、大丈夫かなって、毎回、不安との闘い。

――歌声、伸びやかでタフです。でもトレーニングはしてないんですよね。

 特別なことはしてない。こんな高音、ライブで出るかなって思うんだけど、お客さんの前に出ると、あっという間に出る。アドレナリンの仕業だな(笑)。

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