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年頭に当たって

公益社団法人日本芸能実演家団体協議会 会長 野村 萬

 伝統芸能に携わる者は、伝統のみに留まることなく、常に緊張感をもって、現代に向き合い、今生きているものとして呼吸をしていなければなりません。温故知新という言葉がありますが、現代芸術において「故ふるきを温たずね新しき知る」創造への試みが重要であるように、伝統芸能において「新しきを温ね故きを知る」ことに、心を働かせていることが必要であります。〈過去〉と〈現代〉だけでなく、様々な事柄における振幅度は、組織運営においても重要な要素であり、己の位置する部署と反対の方向に振り子が触れることを、大切にする組織でなければなりません。芸団協の事業においても、CPRA事業と実演芸術振興事業とが、車の両輪として引っ張り合い、中心軸はぶれず、公益法人としての自覚と意志を、変わらず持続させていかなければならないと考えています。

 先頃、韓国の権利者団体と友好を深める機会を頂きました。花伝舎における歓迎の席上、「芸能花伝舎」の命名の由来と共に、「韓国における文化予算と取組みの体制が、我が国よりも大いに先んじておられることに、私たちは確りと学び、共に切磋琢磨し、文化芸術の大輪の花が咲き誇る国を目指して参りたい」と、御挨拶申し上げました。

 海外権利者団体との業務は、CPRA事業において、重要な位置を占めております。契約に基づき、日々、厳正に業務を進めることは当然のこと、権利の根底にある芸術創造について、相互理解を深めることが何よりも重要であることに、改めて思いを致す貴重な機会となりました。昨年、第196回通常国会において、文部科学省設置法の一部を改正する法律など文化芸術に関わる5つの法律が成立。衆参両委員会における審議の過程で、「文化庁の京都への本格移転は、文化行政の機能強化の途上であること」、「文化振興施策をさらに発展・充実させていくため、『文化省』の創設を見据え、引き続き文化行政に関する取組の在り方を検討すること」を柱とする、極めて重要な附帯決議がなされ、国会における「文化省創設」に向けての潮流が生れました。

 更に、文化芸術振興議員連盟・河村建夫会長による「五輪の年には文化省」の提唱より4年を経、12月の議連総会において、「『文化芸術省』創設の提言」が取りまとめられるに至りました。

 提言は、「文化芸術を創造し、享受し、文化的な環境の中で生きる喜びを見出すことは、人間の変わらない願いである」との文化芸術基本法の理念を、文化行政の原点と位置づけ、文化芸術が本来有する価値を高めることを中心に据え、様々な分野で文化芸術行政が行われる必要性を強く打ち出す内容となっています。政府へ提案されることも併せ決定され、「文化省」創設実現に向け、新たな局面に、更なる一歩を踏み出したと申し上げても過言ではありません。

 年頭に当たり、本年を初心の年と捉え、文化芸術基本法を確りと背骨に据えることを本然とし、「文化省」創設に向けて、倦むことなく力強く、粘り強く思いを継続し、実演家の自覚と覚悟をもって邁進する所存を申し上げ、御挨拶と致します。