CPRA news

謹賀新年

公益社団法人日本芸能実演家団体協議会会長 野村 萬

 七代目・松本幸四郎丈の、戦後初となる「勧進帳」を拝見致しましたことが、私と歌舞伎との出会いの原点であると申せましょう。この度、その高麗屋御三代の襲名興行が華やかに幕を開けております。世阿弥の言う三代に亘る「花」、すなわち「時分の花」、「真の花」そして「老木に花の咲かんが如し」という「花」が実現致しますことは、芸の伝承においてとても大切なことであり、誠に目出度く慶賀に堪えません。

 組織運営においても、理念や基本となるべきことが脈々と継承されていくことは誠に重要であります。伝統芸能と同様に「老」「壮」「青」三世代が継承を担う仕組みを基礎に置き、豊かな創造性と相俟って、力強い活力を生み出すことが、未来への充実へつながるものと強く確信しております。最も要の位置にあるべき「壮」は、「法」を説く役割を果たすと共に「青」を導き「老」を助け、「老」は組織の重要なバックボーンとして確りと位置づき、「青」が横溢するエネルギーを以て臆せず事に臨むべきは言うを待ちません。

 私は以前、芸団協の広報誌「パフォーマー」(平成13年廃刊)で、「CPRAは、実演家及び実演家団体にとっての大切な水源地と申せましょう。源より湧き出る豊かな水を、より広くすべての権利者の方々が潤うよう、適切に供給しなければなりません。強固な水源地を築き上げ、信頼され、国際社会の範ともなるものに致したい」と、申し上げました。芸団協は平成24年に公益社団法人へと移行致しましたが、実演家著作隣接権センター(CPRA)の使命の中心が、「強固な水源地」の確立にあることは言うまでもありません。さらに、著作隣接権事業と共に、芸能花伝舎を拠点とする実演芸術振興事業を、もう一方の柱として位置付けておりますが、二つの事業を車の両輪として確りと機能させ、時代と社会情勢の変化に創造性を以て機敏に対応することが、何にもまして肝要であります。

 昨年、改正文化芸術基本法が施行され、文化芸術の果すべき社会的役割が大きく拡充致しました。文化芸術そのものの振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流、産業等多分野における諸施策が充実して展開されていくための土台が築かれた、画期的な出来事でありました。著作権関連では、「著作権等の保護及び公正な利用を図ること」が同法に引き続き明示され、実演家著作隣接権センター・CPRAとしても、時代に即応した確固たる対策を粘り強く訴えていかなければなりません。

 冒頭の襲名の如く、基本法改正を飛躍に向けての絶好の機会とし、「文化省創設」の実現に繋がる大きな一歩を踏み出すためにも、「老」「壮」「青」三世代による継承を組織運営の礎に据え、なお一層力を尽くしていかねばならないと、思いを新たに致しております。今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう心より御願い申し上げ、新年のご挨拶と致します。